日銀再追加緩和に向けて2つのシナリオ-10月30日説と11月19日説
10月7日付けのコメントで
「私は展望レポート発表となる次回10月30日の決定会合での、再追加緩和決定を予想します。ただしそれには2つの前提があります。それは『10月28日のFOMCで利上げが見送られること』と『次回決定会合時点で日本株が相当程度下落していること(少なくとも日経平均17,000円割れ)』です。そのうちのどちらか一つでも当てはまらないと、10月30日の再追加の可能性は大幅に低下すると考えます。」
とご説明しました。2つの条件がそろうことで10月30日をメインシナリオと考えてきたわけですが、自分の中でもう一つのシナリオの確率が急上昇してきましたので、今回ご説明します。すなわち、10月30日の時点で「日本株が相当程度下落していること(少なくとも日経平均17,000円割れ)」となっておらず、10月30日には再追加緩和が見送られる、というシナリオです。
昨日夕方、日経CNBCを観ていたところ、黒田総裁の単独インタビューが流れ、再追加緩和の有無に関する質問に、黒田総裁が「今のところ再追加緩和は考えていない」という趣旨の回答をしたところ、キャスターが揃って「でも現状を考えれば10月30日に再追加緩和が決定される可能性は高い」と話していたのを聞き、海外でも10月30日再追加緩和予想がずいぶん浸透しているということを再認識しました。国内でも、10月30日を予想する人はかなり存在します。
再追加緩和期待が後退するか、あるいはその期待を吹き飛ばすくらいの悪材料が出るかして、10月30日時点で「日本株が相当程度下落していること(少なくとも日経平均17,000円割れ)」という条件を満たしていれば、10月30日の可能性はかなり高くなります。しかし、期待感が強ければ、10月30日に向けて日本株がそれほど下落しない、という可能性もかなりあります。その場合、10月30日の再追加緩和は見送られるでしょう。
そうなると、多くの期待を裏切る、という形になり、再追加緩和がいつなのか、という議論を通り越して、再追加緩和がそもそもあるのかどうか、という議論になり、黒田日銀の金融政策に対する信認は大きく傷つき、日本株は大幅下落すると思います。すると、次々回の11月19日決定会合の時点で、「日本株が相当程度下落していること(少なくとも日経平均17,000円割れ)」という条件を満たし、またその直前の11月16日にはマイナス成長が予想されている7-9月期GDPの発表もあります。
つまりその場合、7-9月期GDPマイナスで、2四半期連続マイナス成長となり、定義でいうところのリセッションとなったことを大義名分とし、本音では株価下落を受けて株価対策という政治圧力を受けて、11月19日に再追加緩和決定というシナリオです。
いずれにせよ、株価動向次第ということですから、まずは10月30日に向けて株価がどこまで下落するか、に注目すればどちらのシナリオの可能性が高いか判断できるでしょう。
目先の話としては、ショートカバー主導の市場上昇は、先週金曜日でピークアウトしたと思います。海外株式市場の動向や個別銘柄の値動きからだけでなく、昨日、原油価格が久しぶりに大幅下落したことも、そう判断する根拠です。次は、何らかのきっかけで、いつ再び下落を始めるか、が問題ですが、きっかけはやはり業績懸念で、今週中にはその動きが始まるのではないか、と考えています。