株価が十分に下落せず、10月30日再追加緩和は見送りか
前回のコメントで、
日銀が再追加緩和を決めるためには、「日本株が相当程度下落していること(少なくとも日経平均17,000円割れ)」という条件が必要だと思われる。10月30日時点でその条件を満たしていない場合、再追加緩和は見送られるだろう。
ということをご説明しました。過去1週間の株価動向を見ると、やはり10月30日再追加緩和の期待感が高く、株価がそこまで下落しない可能性が高いと感じます。昨日発表の中国の7-9月期GDPも、ほぼ予想通りで悪材料になりませんでした。つまり、「期待感から株価が十分に下落せず」→「10月30日再追加緩和見送り」→「見送りから来る失望、日銀への不信感、さらに業績懸念から株価大幅下落」→「株価大幅下落を受けて、11月16日発表のGDPがマイナスとなり、2四半期連続マイナス成長を理由に11月19日再追加緩和決定」というシナリオの可能性がかなり高まったと思います。
結局、10月30日までは日経平均17,500-18,500円のレンジ相場が続きそうです。9月29日に日経平均は17,000円割れまで下落し、レンジは17,000-18,000円に切り下がったと思いましたが、それは間違いでした。振り返ると、17,500円から下の部分はグレンコア・ショックによる下げ過ぎの部分で、レンジの下方シフトはまだ起こっていなかった、ということです。
米国では7-9月期企業業績発表が続いており、業績が予想を下回った企業が散見されます。昨日引け後はIBMが業績発表しましたが、予想を下回ったことから時間外で株価は5%近い下落となっています。日本でも本日引け後の安川電機(6506)を皮切りに、来週以降発表が本格化します。業績懸念が広がっていくと思われ、上値は重いでしょう。GPIFも日経平均18,000円以上は買ってこないようです。しかし、先週木曜日の寄り直後のように、再追加緩和の期待感から、17,500円に近付くと、先物主導で買い仕掛けが入り戻る、という展開が10月30日前場まで続く可能性が高いと思われます。
ドル円ですが、「日銀かFRBが次のアクションを取るまでは、120円を中心にした小幅なもみ合いが続く」という見方に変更ありません。依然として、ドル・ロング(円ショート)、ドル・ショート(円ロング)ともポジションが積み上がっておらず、大きく動くエネルギーは無いからです。特に、先週木曜日の欧州時間に118.10円まで急落したことで、ドル・ロング(円ショート)のポジションは一掃された状態にあると思います。
基本シナリオは、11月19日に日銀が再追加緩和決定、12月16日にFRBが利上げ決定、ですが、12月16日にも利上げがなされない可能性はあると思います。マイナーシナリオとしてFRBが、最近発表された弱めな経済指標には目をつぶって、株式市場や商品市場の落ち着きや7-9月期GDPから中国経済失速が見られないことを理由に、10月28日に利上げ決定する可能性を考えています。その場合、日銀が10月30日に再追加緩和を決定する可能性は完全に消え、再追加緩和決定は株価動向次第で11月19日ないしは12月18日になるでしょう。