株式市場の2007年との相似性(2)
10月9日のコメントで、株式市場の今年8月以降の展開が、2007年と酷似していることをご説明しました。今回はそれを上げ下げ一波動の変動率からご説明します。
今年8月半ばに日経平均が急落を始める直前(8月17、18日)の水準は、20,600円程度でした。そこから一気に急落し、日中の現物安値は17,700円程度(8月25,26日)でしたので約14%の下落、イブニングでの先物の安値は17,160円(8月25日夜)でしたので約17%の下落でした。一方、2007年の時は、急落直前(7月24日)の水準は18,000円程度で、そこから一気に急落し、日中の現物安値は約15,300円(8月17日)でしたので約15%の下落でした。突然の急落での一波動の下落率はほぼ同じだった、ということです。
次に戻りです。2007年の時は、急落後もみ合った後に9月11日の安値15,600円程度から戻りの波動が始まり、10月11日の高値17,500円程度でピークアウトするまで戻り波動が続きましたので、約12%の戻りでした。今年は、9月29日の安値16,900円から戻り波動が始まり、今日の高値18,900円までやはり約12%の戻りとなっています。また、2007年10月11日は282円高という大幅上昇でした。本日も大幅上昇です。つまり、今年を2007年になぞらえば、株式市場の戻り高値は本日付けた、ということになります。戻り波動の期間的にも2007年が約1カ月、今年も今日で1カ月弱です。
2007年のピークアウト後の展開ですが、10月25日安値の16,200円でいったん下げ止まり、11月1日高値16,900円まで戻すものの、再び下落が加速して8月安値を更新し、11月22日安値14,800円までの下落となりました。戻り高値から約15%の下落です。今日が戻り高値だとして、これを今年に当てはめると、18,900円から15%下落は16,100円となります。16,000円トライ、あるいは16,000円割れという水準が、次に下落波動が始まった時の一波動で到達する安値めど、ということになるでしょう。
もちろん今年が2007年と全く同じ展開になる保証はどこにもありません。しかし2007年当時すでにネット証券は普及していたなど、投資に関するインフラは現在とさほど変わりませんし、運用方法にも大きな違いはありません。何よりも、状況変化による市場参加者の心理状態の変化は同様ですから、「当たらずしも遠からず」の展開になる可能性は高いと思います。2007年当時と現在の唯一の違いはHFT(高速売買)の存在ですが、その存在はボラティリティを増加させる効果がありますので、今年は2007年よりも値動きが激しくなる可能性はあります。