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2015年10月26日のマーケット・コメント

株式市場の2007年との相似性(3)-戻りめど達成

 

先週末に中国で更なる利下げが発表され、それを受けて金曜日に欧米株式市場は大幅上昇しました。その流れを受け継いで、日本株も本日大幅続伸しています。しかし、中国利下げは好材料出尽くしで、世界的に株式市場は戻り高値を付けた可能性が極めて高いと思います。

 

前回のコメントで、日経平均18,900円は、2007年10月に戻り高値を付けたときの、直近安値からの上昇率12%と同率の戻りだ、とご説明しました。ただ、2007年10月の際には200日移動平均線を一瞬超える水準でした。日経平均の今日現在の200日移動平均線は19,174円です。金曜日イブニングでの先物の高値19,140円、本日日中高値19,089円でほぼ200日線水準まで戻ったと言え、依然として2007年のパターンから外れてはいません。上昇率が12%ではなく13%だった、ということにすぎず、価格水準だけではなく経過時間も内包している移動平均線との比較の方が重要だからです。

 

また、中国も含めて世界的に株式市場が相当戻っている、このタイミングでの中国の利下げは、ほぼ「無駄弾(むだだま)」でしょう。3月、5月、8月に続き、今年4回目の利下げになるわけですが、利下げが中国経済回復の処方箋ではないことはあきらかです。8月の急落前の水準である現状水準まで戻っている中国株を、今回の利下げでさらに押し上げることは無理でしょう。現に、本日の中国株は小幅上昇にとどまっています。

 

「無駄弾」どころか、時間が少し経過すれば、今回の利下げが悪材料視される可能性すらあります。株価が下落している時ならともかく、株価が相当戻ったこのタイミングでの利下げ発表は「実体経済は思っているよりも深刻なのかもしれない」という解釈に変わる可能性があるからです。

 

今週から日本でも業績発表が本格化します。パナソニック(6752)、日立(6501)は業績順調という観測記事により株価上昇していますが、観測記事は往々にして業績好調という内容の銘柄について書かれるものです。今週以降、業績発表を受けて、個別銘柄で業績懸念があらためて意識されるものも散見されていくはずです。また、現状水準ではGPIFなどには全く買い余力は無く、また、これまでの行動を見る限り18,000円以上では買ってこないと思われます。

 

2007年のパターンを当てはめると、次の下げ波動では15%下落ですので、19,140円を基準にすると、下落めどは16,270円になります。もちろん多少の誤差はありえますが、9月の安値を更新する、ということは十分あり得るでしょう。

 

ドル円はこれまでのボックス上限の121円を明確に超え、10月28日FOMCでの利上げを織り込み始めた可能性はあります。しかし、ほぼ誰も予想していない10月28日に利上げを行えば、完全に「ネガティブ・サプライズ」になるため、サプライズ嫌いのイエレン議長が取る決断だとは思えません。10月28日の利上げの可能性はゼロだと決めつけない程度に意識し(万が一のために逆指値のドル買い注文を少し入れておく)、メインシナリオはやはり、10月28日利上げなし、10月30日再追加緩和なし、でしょう。つまりドル円は株下落とともに、119-121円というボックスに戻る、ということです。