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2015年11月11日のマーケット・コメント

11月限りコール・オプションをめぐる先物の攻防

 

昨日の後場、日経平均先物が異様な強さを見せました。米国株下落、ドル円若干円高ドル安、中国株ほぼ横ばい、という日本株は通常下落するはずの外部環境の中、昨日の後場の日経平均先物は上値を買い上がる動きでした。特に、19,650円より上では、大口の買いが断続的に出ていました。印象としては、仕掛けで買い上がるというよりは、仕方なく買わされている、という感じでした。

 

この水準では、GPIFなど公的年金にはまったく買い余力はなく、大口の短期投資家が単純に買い仕掛けをするとも思えません。「仕方なく買わされている」として連想されるのが「カラ売りの買戻し」ですが、この水準では買い戻さなければならないカラ売りポジションを抱えている短期投資家はほとんどいないでしょう。短期投資家のロスカットの値幅は小さく、すでに買い戻しはほぼ終了しているはずだからです。

 

そうなると浮上してくるのが、「コールの売り手のヘッジによる先物買い」です。やや技術的な話になることをご容赦ください。オプションの売りポジションを取る際には通常、現在値からかなり離れた行使価格のものを売ります。たとえば、先物価格が19,000円割れだった今月はじめに、「11月オプションSQの11月13日までに20,000円まで上がることはないだろう」と考え、行使価格20,000円のコールを売りたてる、という具合です。

 

オプションの売りポジションは、先物価格がオプションの行使価格を越えてしまうと、実質的には先物の売りポジションと同じになります。したがって、先物価格が行使価格に近づくと、損失をヘッジするために先物ポジションを取ります。つまり、昨日後場の先物の買い手は、11月限りの19,750円コールや20,000円コールの売り手が、先物価格が上昇したことを受けてヘッジで先物を買わざるを得ない状況になったことが背景だと考えられます。

 

11月限りのオプションは、すべて11月13日のSQで清算されますので、日経平均先物の外部環境と関係ない強い動きは最長でもSQまで、ということになります。来週以降は、外部環境次第の通常の動きに戻るでしょう。「外部環境」は、「10月始め以降、世界的に株式市場が相当程度戻った後に、米国で利上げがなされる可能性が高まったこと」で、株式市場はピークアウトから再度下落の方向だと思います。