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2015年11月13日のマーケット・コメント

12月16日FOMCでの利上げは規定路線に

 

昨日米国市場で、株式、商品ともに大きく下落しました。背景には複数のFRB高官が、12月16日利上げの可能性が高いことを示唆したことがありました。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は「利上げのための条件が近く満たされる可能性がある」と発言し、セントルイス連銀のブラード総裁も年内に利上げに動くべきとの見解を表明しました。さらにシカゴ連銀のエバンス総裁にいたっては、12月利上げを前提として、「(来年以降の)利上げペースが漸進的(ゆっくり)になることを明確に示す必要がある」と発言しました。

 

これで「余程のこと」がおきない限り、FRBは12月16日のFOMCで利上げを決める強い意思が確認されました。さらにそれが11月18日に発表される、10月28日FOMC議事録で再確認されるでしょう。前回FOMC、イエレンFRB議長の議会証言、そして今回の各連銀総裁発言を経て、3週間前には少数派だった12月利上げ予想が今や多数派になりました。サプライズ嫌いのイエレン議長にとって、とてもうまく地ならしが出来た、ということでしょう。また、この地ならしにより、日銀は「余程のこと」が起きない限り、再追加緩和には動けなくなったと思います。

 

12月利上げ開始を織り込む市場の反応は、ドル上昇、新興国資産(通貨、株、債券)下落、商品価格下落です。大幅下落はないにせよ、米国株に対しても下落圧力でしょう。日本株から見れば、円安ドル高進行と新興国経済悪化の綱引きとなります。11月に入り、日本株は円安ドル高が下支えする形で海外株下落にもかかわらず、他国株式市場よりも明確に堅調な動きとなっています。しかし、この日本株だけが強い動きも時間の問題で終わると思います。米国の利上げ開始とその後の影響を考えれば、中長期投資家は早晩、株式の組み入れ比率削減を再び開始すると思われます。そのとき、ドル円が円安ドル高だからと理由で、日本株だけ削減対象にしない、などということはあり得ないからです。下げ渋っていた分、どこかで一気に下げて帳尻を合わせる、というパターンになるのではないでしょうか。

 

ドル円は、株下落で円高ドル安進行に引っ張られにくくなった、といえるでしょう。ボックスの上限を上抜けするのは、12月16日の利上げを受けてから、という考えに変更はありませんが、株が相当程度下落しても120円割れはないのではないか、と思えてきました。以前のボックスは120円を中心に118.50-121.50円でしたが、2.50円上方シフトし、122.50円(ちょうど現状水準)を中心に121-124円のボックスとなったのではないか、というイメージです。株が急激に相当下落した場合には、最大で120円トライまではあり得るかとは思いますが、120円台の滞留時間は短いと思います。

 

ずるい言い方になってしまいますが、120円を割れてさらに円高に引っ張られるほどの株急落は「余程のこと」であり、12月利上げ自体が出来ない可能性の高まりを市場が織り込んでいるということになるでしょう。ただ、そのときには日銀の再追加緩和の可能性が高まることになり、ドル円は絶好の買い場になります。