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2015年11月30日のマーケット・コメント

「健全化」しつつある中国株市場

 

先週金曜日に、中国株が久しぶりに大きく下落しました。上海総合指数は5.5%下落と、8月26日に安値を付けて以来の戻り相場で最大の下落です。この下落の背景は、中国当局が複数の証券会社に調査に入ったことであり、個別一過性の問題だ、とされています。しかしそれが原因ではないと思います。先週金曜日に中国の10月の工業利益が発表されましたが、それが4%を超える減少となっており、景気対策の効果は現れていないことが再認識された、ということが真の背景だと思います。ファンダメンタルズの悪材料に対して、株価が下落で反応した、ということで、中国市場も「健全化」してきたと言えるでしょう。

 

8月の急落以降、中国政府は明らかに株式市場への介入を続けています。特に5中全会が終了した翌日の11月4日から、その動きが顕著になりました。それにもかかわらず、弱い経済統計で大幅下落した、ということはもはや市場介入も機能しなくなりつつある、ということです。

 

大幅下落明けの週初となる今日も、小高く始まったもののすぐに下落基調に転じ、前場終了時点で上海総合指数は1.8%下落となっています。チャートで言うと、重要なフシである75日移動平均線(現在3,398)を割り込んできました。このまま75日線を割れた水準で引けると、次のフシは直近安値(11月3日)の3,300、さらにそこも割り込むと次のフシは3,000までありません。もし本日下落幅を拡大して引けるようであれば、3,300で止まる可能性は小さく、3,000トライが見えてきた、というチャートの形になります。

 

そうなったら、日本を含む先進国株市場も無視してはいられなくなるでしょう。日本株は、12月16日にFRBによる利上げ、それを受けて円安ドル高進行、ということが目先の下支え要因になるとしても、日経平均で少なくとも75日移動平均線(現在18,855円)トライまでの下落はあるでしょう。また、裁定買い残が今年6月以来の高水準となっていること、騰落レシオは122%といわゆる「過熱ゾーン」にあることといった、下落が加速しやすい状況であることにも注意が必要でしょう。

 

ドル円は株下落にどこまで引っ張られるか、ですが、日本株以上に利上げ観測が下支え要因となるため、下値余地は最小で122円、最大でも121円程度だと思います。122円台前半以下は、ゆっくり買い下がるべき、という見方に変更はありません。

 

追記:上記は中国市場の昼休みに書きました。その後、後場が始まり一時下落率は3%を越えましたが、引けにかけて戻り、結局前日比プラス件で引け、75日線割れは仕切り直しとなりました。