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2015年11月5日のマーケット・コメント

異様に強い中国株-政府資金の買い支えか?

 

昨日、上海総合指数は4.3%の大幅上昇、続く本日も14時15分時点で3.4%の大幅上昇となっています。チャートで見ると、6月後半の急落以来、初めて75日移動平均線を越えました。この2日間の大幅上昇の材料としては、3日に中国共産党が2016-2010年の「新5カ年計画」を発表したこと以外には考えられません。しかし、新5カ年計画の内容は、一人っ子政策の撤廃をはじめとして、経済押し上げに短期的に効果が出ると期待されるものはありませんでした。向こう5年間の平均GDP成長率は、これまで5年間の前提だった7%から6.5%に引き下げられました。どう考えても2日間で株価指数が8%近く上昇する内容ではない様に思います。

 

そう考えると浮上してくるのが、中国お得意の市場介入の可能性です。ご存知の通り、中国は共産党1党独裁の国です。その共産党が発表した新5ヶ年計画を受けて、もし株価が下落の反応をしたら、共産党の面子は丸つぶれでしょう。それを防ぎ、さらに「株式市場は新5ヶ年計画を高評価している」ということを、株買い介入によって演出しているのではないか、ということです。

 

政府の介入による株高演出は、いつまでも続けられるものではありません。「株式市場は新5ヶ年計画を高評価している」ということの演出だと考えれば、せいぜい今週いっぱいくらいのものでしょう。つまり、この2日間の中国株の異様な強さを見て、「中国株の動きが変わった」「上海総合指数は4,000を目指す戻り相場に入った」「であるならば、日経平均も200日線(現在19,239円)を明確に上抜けて上昇」などと考えるのは非常に危険だということです。

 

ドル円ですが、昨日のイエレン議長の議会証言で、あらためて12月利上げの可能性に言及したことを受け、121円台半ばまで円安ドル高進行していますが、「あくまでも今後の経済統計次第」であること、次回のFOMCは12月16日なので、まだまだ1ヵ月半ほど先であり、そこでの利上げを織り込み続けるには時間がありすぎること、を考えると、まだしばらくは米国経済統計や要人発言に一喜一憂しながらのボックス相場が続く、と思われます。ボックスのレンジは、株下落を伴えばこれまで通り119-121円を中心とするレンジ、株下落が起こらなければ120-122円を中心とするレンジだと思います。株価は早晩、世界的にピークアウトすると思っていますので、119-121円がメインシナリオです。