米雇用統計-利上げを織り込みドル円レンジは上方シフト
先週金曜日に米国で雇用統計が発表され、内容は事前予想よりも強いもので、12月利上げの可能性の高まりを織り込む形で、為替はドル高、米国株はまちまち、債券は下落(利回り上昇)という反応となりました。ドルは対円でもドル高となり、ドル円は123円台に乗せてきました。このまま、世界的に市場の混乱(急落)がなく、今後発表される米国経済統計が予想外に弱いものではない限り、12月16日のFOMCで利上げが決定される可能性はきわめて高くなったといえるでしょう。
そうは言っても、今後利上げを織り込み続けて、円安ドル高進行が継続するとは思えません。その理由は、以下の通りです。
1.前回コメントでもご説明したように、12月16日までまだまだ時間があり、今後発表される米国経済統計がすべて利上げを後押しする内容になるとは思えないため、一喜一憂の展開が想定される。
2.株式市場がこのまま高止まりするとは思えず、株下落の際にはドル円は円高ドル安方向に、少なくともある程度引っ張られると思われる。
3.ドル円の短期投資家のポジションが、直近で円安ドル高ベットにそれなりに傾いてきており、ポジション・クローズによる円高ドル安進行のエネルギーが増加してきた。
以上を考えると目先の展開は、「12月利上げの可能性の高まりを受けて、ボックスレンジは上方シフトしたと思われるものの、ボックス上抜けは実際のアクション(利上げ決定)をうけてから」だと思います。新たなボックスの上限はまだ確認できないので、短期的に最も重要なことは新たなボックス圏の確認です。ボックスの下限は、前回ご説明したとおり、株下落がどこまで進むか次第で、株下落がそれほどでなければ(日経平均で18,000円近辺程度までの下落であれば)121円近辺、それ以上株下落が進めば118円台だと思います。
日経平均は円安ドル高進行を受けて、米国株や資源国株が下落する中、本日大幅上昇し完全に200日移動平均線(現在19,263円)を明確に上回ってきました。しかしながら、多数の企業で業績ピークアウト感が出てきたことに加え、米国利上げの可能性の高まりにより資源価格や新興国資産は更なる下落圧力を受けることを考えると、日本株が上昇トレンドに回帰することはありえないと思います。
だとすれば戻りめどがどこまでか、ということになりますが、2007年との比較で考えると、
1.9月29日の急落はグレンコア・パニックという特殊要因によるもので、実質的な反発のスタートは17,500円だったと考えれば、12%上昇の19,600円。
2.最高値からの下落率で考えれば、最高値から4.4%下落の約20,000円。
現在の水準は「いいところ」だと言えるでしょう。また、下落トレンド入りした後の、戻り切った後の再びの下落は、下落速度も値幅も大きくなりがちですので、中途半端な水準で買い向かうことは絶対に避けるべきです。