米国FRBついに利上げ
昨日のFOMCで、大方の予想通り0.25%の利上げが決定されました。今回の声明文に新たな内容はなく、「米国経済および米国労働市場は緩やかな拡大が続いている」「来年の利上げペースは緩やかなものになる」「今後の利上げ時期は、今後の経済統計次第だ」という従来通りの内容が確認されました。
また、FRB当局者(議長、副議長、各連銀総裁)の2016年末のFFレート予想分布、いわゆるドット・チャートが発表されましたが、1回の利上げ幅が0.25%だという前提で、2016年の利上げ回数の予想分布は次の通りでした。2回4人、3回3人、4回7人、5回2人、7回1人。FOMCは1年に8回開催され、そのうち4回(3,6,9,12月)は会見が予定されています。つまり、最も多い予想の4回は、3,6,9,12月の4会合での利上げを予想する、というものでした。
実際の利上げ時期、および回数は、表明されている通り、経済状況や市場動向によって結果的に決まるものだと思われますので、当局者の上記予想は「2016年を通じて現状から大きな変化がなければ」という前提でのものです。ただし、上記予想から言えることは、「FRB当局者は市場が考えているよりも利上げに積極的な姿勢だ」ということです。やはり、以前からご説明している通り、利上げの真の目的はインフレ抑制ではなく、「金融政策で景気刺激策を打たなければならなくなった時に利下げ余地を作っておき、QE4はなんとしても避けるため」だと考えられます。
目先のFOMCの予想ですが、次回の1月では政策変更なしとして、「毎会合で機械的に利上げをするのではない」という従来からのスタンスをアピールし、次々回の3月には余程のことがなければ2回目の利上げを行い、「FRBは金利水準の正常化に前向きだ」ということをアピールすると思われます。
ところで日銀決定会合ですが、2016年からこれまでの年間14回から、FOMCと同様の年間8回に変更されました。再追加緩和が予想される時期ですが、「かなりの株価下落(少なくとも日経平均16,000円台以下)が必要」「2016年7月の参院選に向けて予想される政治圧力」を合わせて考えると、4月28日の可能性が最も高いと思われます。(3月15日にも決定会合がありますが、3月16日にFOMCがあるため、その直前には動きにくいと思われます。)
ドル円は、年内はドル高に牽引されてじり高(円安ドル高)、年明けは株価下落で一旦は調整、その後株下落が継続してもドル円は下げ止まり(今年9月と同様)、3月FOMCでの2回目の利上げで再びドル高に牽引され円安ドル高、4月の日銀決定会合での再追加緩和を受けて円安が牽引して円安ドル高加速、という展開を考えています。