「有事の円買い」がついにはっきりと「有事のドル買い」に
昨日のNY為替市場では、ドルが独歩高となり、ドル円も120円の大台を回復する動きとなりました。この背景は、ウクライナ情勢、ギリシャ情勢の先行き不透明感に加え、米国がイスラム国に対して地上戦を展開する方針であることが明らかになり、いわゆる「リスクオフ」的な流れでした。欧州株は下落、米国株は引けではほぼ横ばいまで戻ったものの、終日マイナス圏での動きだったことからも、それが伺えます。
これまで何度もご説明してきましたが、ファンダメンタルズからは何一つ円高ドル安になる理由は無いにもかかわらず、2つの条件反射が円高要因として存在してきました。①「リスクオフ=円買い」と②「株安=円高ドル安」です。現在に至るまでに、①の条件反射はほぼ消失しておりましたが、今回のようにはっきりと「リスクオフ=円安ドル高」となったのは初めてだと思います。これで一時的にせよ、円高進行を警戒する2つの材料のうち、1つは完全に無くなった、といっていいでしょう。
残るは②「株安=円高ドル安」ですが、本日の日本株は、120円を超える円安ドル高進行を受けて、欧米株が上昇していなかったにもかかわらず、大幅上昇となっています。「円安ドル高=株高」という反応が、いまだに残っているということです。10-12月期業績発表で、円安進行がもはや日本の企業業績押し上げにならない、という事実を見せつけられた直後にもかかわらず、です。であるならば、本日の逆の動きである「株安=円高ドル安」の条件反射は、いまだに残っている可能性が高いと考えられます。つまり、本日の日本株がボックス圏の上限で、今後下落していくとすれば、依然としてそれに影響されてドル円もある程度(以前ほどではなくなるにしても)円高ドル安に引っ張られる、と考えられます。
やはり当面は、前回のコメントでご説明した通り、「ドル円はボックス圏が緩やかに切り上がり、日本株はボックス圏が緩やかに切り下がる」という展開が想定されます。