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2015年2月16日のマーケット・コメント

日米とも株価はボックス圏の上限

 

NYダウ、日経平均ともに18,000の大台を回復してきました。しかし、日米ともにあくまでもボックス圏の上限に達する動きであり、高値を更新して上昇していく動きではない、と考えます。理由は以下の通りです。

 

1.中長期投資家は動いていない。

日米ともに、年金資金のような中長期投資家は動いていません。買い増すことも減らすこともなく、様子見を続けています。彼らの注目点の1つである企業業績動向は、日米ともに「悪くはないが迫力不足(ひとケタ台の増益率)」です。(米国企業業績に関しては、本日の日経新聞7面に記事があります。)一方で、予想PERは日米ともに17倍という水準にあり、「非常に割高」とは言えないまでも決して「割安」という水準ではありません。したがって、「買い増す」理由は見当たりません。

しかしながら、2014年年明け以降、株式市場から「降りたら負け」の展開が続いていることも事実です。世界景気、企業業績などの不透明感から、株式の調整局面は何度かありましたが、いずれもその後に高値更新してきました。そのため中長期投資家は、株式を「減らす」ことにも躊躇しています。その結果、様子見を続けているのです。

 

2.現在の市場を動かしているのは、もっぱら短期投資家。

年明け以降、日米ともに前日比での変動幅は大きい日が多いものの、上にも下にもトレンドは出ず、結局NYダウも日経平均もおおむね17,000-18,000での推移が続いています。これが、市場参加者の大部分は短期投資家である、何よりの証拠です。短期投資家は、日々売り買いを繰り返します。買いから入っても売りから入っても、短期間のうちに反対売買をします。したがって、短期投資家は日々のボラティリティは創出できても、トレンドは作り出せないのです。

短期投資家にとって一番都合がいい相場は、一定のレンジ内で値動きの荒いボックス相場です。ボックスの上を買い上がったり、ボックスの下を売り叩いたりすることは、大きなリスクが伴います。それゆえ順張り追従型の機械任せのCTAファンド以外は、そのような行動を取る短期投資家は極めて少数です。

 

3.世界情勢は依然不透明感が強い。

原油価格動向は、大幅下落の原因となった供給増加が解消されていない以上、まだ予断を許さない状況であり、ギリシャ財政をめぐるECBとの駆け引きも始まったばかりです。中国経済の構造要因による成長減速も出口が見えません。ウクライナでは停戦協定となりましたが、いつまで守られるのか何の保証もありません。

世界情勢の不透明感は世界経済の下押し圧力となり、ひいては企業業績の悪影響要因です。そのような状況を考えると、株の高値を買い上がる根拠となる、企業業績の大きな成長ストーリーを描くことには無理があります。

 

話は変わりますが、ドル円と日本株の関係は、先週木曜日の森本日銀審議委員の「追加緩和失敗発言」以来、ドル円が横ばいの中での株高となっています。一方で、いわゆるシカゴ投機筋ポジションを見ると、2月10日時点で過去1年間の最低水準にあり、円高進行圧力は限定的であることが伺えます。先週木曜日の発言直後の動きを振り返っても、出来高の薄い中(為替の出来高データはありませんが)、短期投資家の動きで大きな値幅が出た、ということが言えます。

これは同時に円安方向にも言えることであり、円安ドル高に動くちょっとしたきっかけがあれば、短期間で大きく円安ドル高に動きやすい状況だということです。とりあえず今週水曜日の日銀決定会合が、そのきっかけの候補です。