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2015年2月19日のマーケット・コメント

日本株だけが上抜けの背景考察

 

前回のレポートで、「日本株も米国株もボックスの上限」と書きましたが、日経平均は明確に18,000円を超え上抜けてきました。米国株は上抜けしておらず、ドル円は118円台半ばに戻ってしまっています。特に、本日は米国株小幅下落に加え円高ドル安進行を受けても、日本株は上昇となっています。また、先週までと違い、今週に入ってから、先物だけではなく明らかに現物株の買いが入っています。中小型株の値動きはさえず、もっぱら大型株のみに買いが入っていることが伺えます。買い主体はどこでしょうか?

 

候補としては海外か国内の機関投資家、ということになるのですが、外人投資家は主体別売買動向を見る限り、年明け以降若干の売り越し基調が続いています。直近で、彼らが買い転換するような変化は国内外で起こっていません。さらに、世界株式市場の中で日本株が突出して強い状況ということは、日本株だけを買っている、ということになるわけですが、中長期外人投資家がそのような行動をここ1週間で取り始めた理由は何もありません。

 

そうなると、買い主体は国内の機関投資家、もっとはっきり言うとGPIFということになります。基本ポートフォリオ変更を受けて、GPIFは国内債券を売り、日本株および海外資産(株と債券)を買う、という行動を取っている可能性があるわけですが、国内債券には日銀という巨大な買い手が存在し、海外資産は市場規模が大きすぎてGPIFの買い程度ではマーケット・インパクトが現れないが、売買代金の盛り上がらない日本株市場では彼らのマーケット・インパクトが大きい、と考えると整合性が取れます。

 

振り返れば1月下旬にも、同様な「日本株だけが強い」という時期がありました。(2015年1月29日付コメントを参照下さい。)月前半は「押し目で買う」、月後半は「その月に買う予定分を月末少し前に向けて機械的に買う」というオペレーションをしていると仮定すると、1月後半、2月後半に日本株だけが強い、という状況が説明できます。年度末である3月末の組み入れ比率が最も重要でしょうから、3月も同様の動きになる可能性が高いと思っておいた方がいいでしょう。

 

3月末までは、海外で悪材料が出て世界的に株式市場が下落する時には、さすがに日本株も一緒に下落するが、ニュースがなく海外が横ばいの時は日本株は堅調、という上値下値を徐々に切り上げながらのボックス相場、の可能性が最も高いということになります。その間はあまり無理せず「しのぐ」スタンスが無難でしょう。しかし、以前からご説明しているように、日銀と違いGPIF資金は有限です。買いにも限りがあります。10月以降現在に至るまでのペースで日本株を買い増し続けると、6月末までには25%に達します。GPIFの買いの終わりが見えてくる頃、本決算の発表で業績への疑念が灯り始まるとすれば、GW明けごろから明らかなトレンドの変調が現れる可能性は高いと思います。