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2015年2月25日のマーケット・コメント

イエレンFRB議長の議会証言の解釈

 

昨日米国で、イエレンFRB議長の議会証言が行われました。「米国経済の足元は堅調であり、雇用市場の回復が続き、賃金が上向き始める兆候が見られる」と、米国経済に対して強気な発言をし、また「インフレ率については、依然として望ましいとする水準を下回っているが、最近の弱さは原油価格の大幅下落が主な要因であり、中期的には目標とする2%にむけて徐々に上昇する」とゼロ金利継続に対する警戒感を示しました。これは「FRBの次の政策変更は利上げだ」ということを、あらためてアピールしたと素直に解釈すべきでしょう。

 

一方で利上げの時期については、「利上げは差し迫ってはいない」「向こう数回の会合で利上げを決めることは難しい」としながらも、次回(3月18日)のFOMC声明で、「利上げについては辛抱強く判断する」という文言を削除する可能性に言及しました。また、利上げスケジュールにはあらかじめ決まったものは無く、すべて今後の経済データ次第で決まる、ということを改めて強調しました。

 

この解釈ですが、注目すべきは「向こう数回の会合で」という部分です。「数回」という日本語は「3回以上」というニュアンスですが、イエレン議長の発言は「in the next couple of meetings」です。「couple of」という言葉のニュアンスは「2回以上」であり、今後のFOMCスケジュールを考えると、「3月18日、4月29日には決定は難しいが、早ければ6月17日には決められる」と解釈されます。また「利上げスケジュールは経済データ次第」と強調している点は「FRBは最初の利上げを決定した後も、機械的に利上げを継続するとは限らない」と解釈すべきでしょう。これは2004年からのFRBの前回の利上げ時期に、毎回のFOMCのたびに0.25%ずつ機械的に利上げを行っていたことを踏まえたアピールと考えられます。

 

以上を総合して考えられるFRBの最も可能性の高い行動は「6月に最初の利上げを行うが、2度目の利上げはその後の状況を見ながら慎重に判断する」ということになると考えられます。まずは3月18日のFOMC声明での表現変化に注目です。