完全になくなった日本株とドル円の相関
これまで何度も話題にしてきた日本株とドル円の相関ですが、今週の市場動向を見る限り、完全になくなったと言っていいでしょう。そもそもアベノミクス相場の初期は「円安=株高」という強い相関がありましたが、円安の日本企業全体の業績押し上げ効果が期待していたほどではないことが広く知られるようになり、相関は薄れてきていました。今週の動きを振り返ると、月曜日火曜日は「円安株安」、水曜日は「円高株高」そして本日は「円(小幅)安株(大幅)高」となっており、円と株の高安の4つの組み合わせがランダムに出ています。まさにこれが「無相関」の状態です。
そうなると、ドル円と日本株がお互いに影響しあうことがない、ということですから、ドル円はドル円の事情で、日本株は日本株の事情で、それぞれ独自に動く、ということになります。
ドル円を動かす材料は、やはり米国の利上げをめぐる観測が一番大きいでしょう。少なくともしばらくは日銀に動きは無いと思われますので、FRBの金融政策変更に注目が集まるのは当然でしょう。3月18日のFOMCで「辛抱強く(patiently)」という文言が削除されれば、6月利上げの可能性は高まり、6月ではなくても年内の利上げがほぼ確実になりますので、ドル円は125-130円を目指す動きを始めると思われます。
日本株は、GPIFなど公的資金が日本株を買い増していることに乗じた、先物主導の上昇相場となっています。いわば「官製相場」という材料を手掛かりにして、先物外人が暴れまわる材料株相場の様相です。今やTOPIXの今期予想PERは米国よりも高くなっており、そこには何ら合理的理由は無いのですが、合理的理由がない水準まで株価が駆け上がるのが「材料株相場」です。ただし何年にもわたり株価上昇が継続することは無く、長くても数カ月位で終わるのも材料株相場の特徴です。しかも今回の「材料」にははっきりとした期限があります。GPIFの買い増しは今年9月末までで終了するからです。9月末ぎりぎりまで材料株相場が続くことは無く、それよりも前倒しで「今回の材料の期限が見えてきたこと」が新たな材料となり、株価はピークアウトするでしょう。
ピークアウトの時期ですが、前回のコメントでご説明したように、最も早ければゴールデンウィーク直後、最も遅ければ8月前半でしょう。ピークアウトする時の日経平均を予想するのは困難です。現状水準からボラティリティの高いもみ合いが続き、結局高値は19,000円強かもしれませんし、20,000円を大きく超えるかもしれません。材料株相場の高値は、合理的理由で決まるのではなく、需給のバランスが崩れたときたまたま株価がいくらだったか、で決まるものだからです。重要なことは、しばらくは上にも下にもリスクを抑え積極的にポジションを取らず、「高値圏での場中の急落」という材料株相場終了の減少が起こった時に、本腰を入れてカラ売りを始める準備をしておくことでしょう。準備は投資資金だけではなく、「頭の切り替え」をする準備が資金以上に重要です。