3月FOMC終了
昨日NY時間にFOMC声明が発表されました。ポイントは二つです。一つ目は、利上げ時期に関する「辛抱強く(patiently)」という表現が削除されたこと、二つ目はFOMCメンバーの2015年末時点での予想FFレートの水準が、12月時点の予想値の1.125%から今回0.625%に下方修正されたことです。昨日のコメントでご説明したように、「辛抱強く」が削除されたことで、6月利上げ決定が可能になりました。また、年末予想FFレート0.625%が意味することは、メンバーの半数が年内1回の利上げ、半数が年内2回の利上げを予想している、ということです。(現在のFFレート誘導目標値は0-0.25%であり、1回の利上げ幅は0.25%と見られます。)
以前もご説明したように、2004年から始まった前回の利上げ時期と異なり(前回は、毎回の会合で0.25%ずつ機械的に利上げを行った)、イエレン議長は初回の利上げを行って以降も機械的継続的に利上げを行うのではなく、経済データを見ながら臨機応変に利上げに対応していくと思われます。したがって、今回の年末予想FFレートの下方修正は、「6月に初回の利上げを行い、7月には利上げを見送り、その後の状況次第で9月か12月に2回目の利上げを行う」という私の予想に沿ったものであり、全く違和感はありません。6月、9月、12月にすべて利上げを行ったとしても、年末のFFレート誘導目標は1.00%であり、1.125%には届きません。今回の会合で、「6月以降に毎会合で0.25%ずつ利上げを行い、年末時点では1.5%」と予想するメンバーがいなくなったと思われ、FOMC内で利上げ対応策のコンセンサスが取れた、と見ていいでしょう。
FOMCを受けて、為替市場ではドルの独歩安の反応となっています。「辛抱強く」の削除よりも予想FFレートの下方修正に反応した形です。しかし、今回のFOMC声明で今後のFRBの金融政策の方向性は、より不透明感が無くなったと言え、「FOMCでドルは上抜け」にベットした短期投資家の需給整理が終われば、再びドル高トレンドに戻ると思います。また、短期投資家のポジションは低位であり、需給調整はごく短期間で終わる可能性が高いと思います。したがって、ドル円は買い増し目線で臨むべきであり、75日移動平均線(現在119.15円)ではサポートされると思われるため、(もし再びあれば)119円前半は絶好の買い場と言えるでしょう。