FOMC&日銀決定会合
昨日米国で1-3月期のGDPと4月のFOMC声明が発表されました。1-3月期のGDPはわずかなプラスにとどまり、それを踏まえてFOMC声明では「1-3月期の経済成長は鈍化したが、それは冬期の悪天候などによる一時的要因である」とし、「依然として、経済活動は緩やかなペースで拡大が続く」とされました。利上げ時期に関する新たな示唆は無く、前回と同様に次回(6月17日)を含めて、次回以降にいつでも利上げの可能性があることに変更はありませんでした。
今回の弱いGDPの発表を受けて、利上げが予想される時期については、6月派は減少し9月派が増加するでしょう。FRBはすでに最低年内に1回の利上げ実施を示唆していますので、だとすれば4-6月期の経済回復が確認される9月だ、ということなのですが、私は依然として6月の可能性が最も高い、と考えています。
ポイントは「FRBは何を目的に利上げを行おうとしているのか」です。もしその目的が、広く認識されている通り「潜在的なインフレ圧力の抑制」だとすると、原油価格の大幅下落もあり現時点では利上げをする理由は無いばかりか、今年中に利上げが必要な状況になるかどうかもわかりません。もしFRBがそのような目的で利上げを考えているとすれば、「利上げ時期は経済状況次第」とだけ表明し続ければいいはずです。
しかしFRBは「年内に最低1回の利上げ」を明確に示唆しています。以前もご説明した通り、FRBの利上げの目的は「将来の利下げ余地を作るため」だと、私は考えています。(2015年4月9日付コメントをご参照ください。)もし、様々な理由から金融政策による景気刺激が必要になった場合、なんとしてもQE4は避けたいとFRBが考えている、ということです。利上げをしてもしなくてもいい、という状況であれば、将来の利下げ余地を確保するために利上げを行いたいと考えていなければ、「年内に最低1回の利上げ」などとは言わないはずです。
9月まで待って、6月時点よりも経済状況がよくなる保証はありません。目的が「「将来の利下げ余地を作るため」であるならば、9月まで待って更なる経済状況悪化やインフレ圧力低下のリスクを取る合理的理由は無く、結論としては「出来るだけ早く」すなわち次回(6月17日)の可能性が最も高い、という結論になります。
また、さきほど日銀決定会合の内容が発表されました。再追加緩和は見送られ、政策変更はありませんでした。現段階(4月30日14時)ではまだ展望レポートの内容は発表されていませんが、2015年度のインフレ見通しは下方修正されるものの、それは原油安により一時的現象として、2016年度、2017年度のインフレ見通しは維持されるようです。
明日は大型連休前ということで、短期投資家は必要以上にリスク回避姿勢を取ることが想定されます。短期トレードをお考えの方は、その逆を行く、すなわち明日買って連休明けに売る、という行動でしょう。業績発表が続いていますが、やはり予想通り慎重な会社見通しを発表、それに対して株価は下落、という反応が散見されています。(中にはアイシン精機(7259)のような例外もありますが。)連休明けに過度なリスク回避姿勢の修正が図られた後(5月11日以降)は、日本株は再び下値模索の展開となることを予想します。
ドル円は118円半ばでサポートされれば、118円半ば-121円のレンジ継続、もし118円半ばを割り込むようだと、ボックスレンジが切り下がり、もみ合い継続と予想します。円ショート&ドルロングのポジションは過去最低水準にあり、思わぬ円高進行のリスクは極めて少ない一方、121円を上抜けするためには、6月17日の利上げを見てからだと思います。