米国株は上げ切ったか-ボックス圏での推移継続の公算
昨日、米国株は大幅上昇し、ダウ、S&P500ともに最高値まであと少しに迫りました。しかし、米国株は昨年12月から続くボックス圏の動きが変わり、高値更新へと向かう可能性は限定的だと思います。むしろ、米国株は現在はボックス圏の上限、いわば「上げ切った」状態になる可能性が高いと考えています。
そう考える根拠はいくつかありますが、まず昨日の上昇の仕方です。昨日は米国株市場が始まる前から、すでに時間外で先物が相当に上昇しており、NY市場では高寄りし、その後引けまで緩やかな上昇となりました。現物株の売買代金は、指数が大幅上昇したにもかかわらず通常よりも少なく、完全に先物主導だったことが伺えます。つまり、中長期資金が現物株を買った結果の上昇ではなく、短期投資家が新規買いもしくは買い戻しを入れた結果の上昇だったわけです。おそらく、一昨日の予想以上に弱い小売統計を受けても米国株が下落しなかったことを受けて、短期投資家が新規買いもしくは買い戻しを入れてきたと考えられます。あくまでも短期的な動きの結果であり、持続性に欠けるということです。
別の根拠として、昨日の米国株上昇は、「今後ドル安傾向がしばらく続き企業業績見通しが改善することを評価」とされていますが、対円や対新興国通貨でドル安傾向が続く理由は何もありません。対ユーロでのドル安は、大量のユーロ売りポジションの整理にもうしばらく時間がかかると思われるため、目先は続くかもしれませんが、それも需給整理が終わるまでの期間限定の話です。
最大の根拠は、企業業績見通しに変化は無く、今期予想PERは18倍と、過去最高水準にあることです。これこそがまさに、過去6カ月間にわたって米国株がボックス圏での推移となってきた背景であり、これが変わっていない以上、これまでの展開と違う展開にはなりようがないと思われます。
日本での企業業績発表も今日で終わりますが、予想通り全体としての今期見通しは迫力不足でした。日本株も高値更新するまで買い上がる状況にはないと言え、日本株も米国株同様にボックス圏の動きに入った可能性が高いと思います。当面のボックス・レンジは、日経平均で19,000-20,000円だと思いますので、レンジの下で買って上で売る、というトレーディングが有効だと思います。ただし、最終的にはボックスを下抜けすることを忘れないでください。