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2015年5月20日のマーケット・コメント

ECB量的緩和加速発言

 

昨日、ECBのクーレ理事が、夏に向けてECBは量的緩和(国債買い入れ)を加速させる、と発言したことを受け、大量のショート・ポジションの需給整理で最近は反発基調にあったユーロは急落、米国で住宅統計が予想よりも強かったこともあり、円も対ドルで大きく下落し、121円に迫りました。

 

ドル円は昨年12月以降、半年間ボックスの動きを続けています。基調としての円安ドル高進行には変化なく、最終的にはボックスの上限を抜き125円に到達すると思われる一方で、今回のこの波動でボックスの上を抜ける可能性は低い、と考えています。そう考える理由は、ボックス圏を上抜け大きく水準訂正するためには、日米の中央銀行(日銀あるいはFRB)の金融政策の変化を市場が織り込む必要がある、と思われるからです。

 

これまでの大きな水準訂正を振り返ります。最初は80円から100円越えまでの水準訂正(2012年11月から2013年5月)ですが、この背景は明らかに日銀の積極金融緩和開始を市場が織り込んだことでした。その次が100円割れから105円までの水準訂正(2013年11月から年末)ですが、この背景はQE3縮小開始を市場が織り込んだことでした。更に101円から110円の水準訂正(2014年8月から2014年10月)は、QE3終了を市場が織り込んだことが背景で、続く110円から120円越え(2014年11月から2014年12月)は日銀のサプライズ追加緩和を受けた動きでした。

 

したがって、次の大きな水準訂正もFRBの利上げ、あるいは日銀の追加緩和を市場が織り込む時だと考えられるのです。私は依然として「利上げは6月17日」と考えていますが、同意見の人はほとんどいなくなった状態で、市場が事前に6月利上げを織り込んでいくとは考えにくいです。また日銀の追加緩和の時期に関しても、近近に実行を予測する意見はほとんど無く、今後市場がそれを織り込んでいくとは考えにくいです。

 

したがって、「120円台後半では一旦ドルロングを軽くして、119円台前半以下で買い直す」というトレーディングが有効だと思われます。もっとも、短期投資家の円ショート&ドルロングのポジションは完全に整理が終わった状態で、その観点からはいつ大きな水準訂正の動きが始まってもおかしくありません。今晩発表される4月FOMC議事録や、今週金曜日の日銀決定会合をきっかけに、121円を明確に上回ってきたら、そこは割り切って順張りでついていくしかありません。その場合、買い増したいポジションの3分の1程度を大台が変わるたびに買い上がる「大台変わり記念買い」がお勧めです。