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2015年5月8日のマーケット・コメント

イエレン「株割高」発言の意図

 

すでに報道されているように、イエレンFRB議長が、5月6日にIMFのラガルド専務理事との公開討論の席上で、「株式のバリュエーションはかなり高くなっている」と発言しました。しかも、やり取りの中でぽろっと発言したのではなく、この発言をすることを用意してきた様子だ、ということです。市場は、この発言の意図を計りかねているようです。

 

私は、ずばり、この発言の意図は6月利上げに向けての地ならしだと考えます。以前からご説明しているように、FRBの利上げの真の目的は、一般的に言われる「インフレ圧力の抑制」ではなく、「将来もし金融政策による景気刺激が必要になった場合に、利下げする余地を作っておくこと」すなわち「QE4は何としても避けること」だと考えており、初回の利上げが6月になる可能性が最も高い、とご説明してきました。今回の「株割高」発言で、その可能性は一層高まったと感じます。

 

あらかじめ「株は割高」と言っておけば、もし利上げを受けて株が下落しても「割高感が解消されたにすぎず、利上げというFRBの政策変更が株式市場を壊したのではない」ということに出来るからです。

 

弱いGDPの発表以降、利上げ時期について、6月予想はごく少数になりました。その予想が変わらず推移し、本当に6月17日に利上げが決定されれば、それは市場にとってサプライズになる可能性が高いです。すなわち、市場はドル高、株安の反応となるでしょう。6月17日に向けて、ドルは押し目買い、株は吹き値売りで、ドル高株安からリターンが得られるポジションを徐々に積み上げていくことをお勧めします。少なくとも、それまでにドル高株安で損失が出るポジションは閉じるべきでしょう。