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2015年6月23日のマーケット・コメント

ギリシャをめぐる「リスク・オン」の行方

 

昨日、ギリシャ問題解決に向けて緊急会合が開かれる、というニュースが伝わり、ギリシャ問題解決を世界的に市場は織り込み、欧州株式市場は大幅上昇となりました。日本株も昨日に続き本日も大幅上昇しており、日経平均は先週末比で一時600円近くの上昇となっています。ギリシャ問題で大幅下落していた欧州株の大幅反発は理解できるものの、相対的に下げ渋っていた日本株の今週の大幅反発、そして年初来高値更新はかなりの驚きです。そして以下の理由から、急反落のリスクが懸念されます。

 

市場は昨日中の合意を織り込んでいたと思われますが、ギリシャの修正案は依然不十分として、ギリシャは24日までに再修正案の提出を求められました。24日に提出される再修正案が債権国サイドが合意に踏み切るほどの内容になるかは、依然として不透明です。それを反映する市場の動きとして、ユーロに注目です。ユーロも昨日は一旦上昇しましたが、22日中の合意が無理だと判明すると下落に転じ、本日の東京時間には更に下落し、今週の安値を更新しています。本日の欧州市場は、昨日の反動で株は反落となる可能性が低くないでしょう。昨日大幅上昇(利回り下落)したギリシャ国債の動きにも注目です。また、先物主導で買い上がる直近の日本株の値動きは、4月20日から22日までの3日間で日経平均が670円上昇した時と酷似しています。その時は、23日にピークを付けてから月末にかけて急反落しました。

 

ごく短期的なことはさておき、ギリシャ問題の行く末を考えたいと思います。まず、はっきりしていることを整理します。

1.ギリシャはECBやIMFの支援融資がなければ、独自で財政を回していくことができない。

2.ECBはモラルハザードを許さない。もしギリシャに屈してしまったら、スペインやポルトガルなどにモラルハザードの動きが波及するのは明らかだから。あくまでもギリシャに歳出削減による財政緊縮化を求める。

3.歳出削減に歯止めをかけることを公約に選挙で勝利し、誕生したのが現チプラス政権。

 

このうち、どうにもならないのが1.すなわち、ギリシャは資金援助がなければ生きていけない、ということです。であるならば、生きていくために資金援助は絶対に必要です。ギリシャよりも経済規模がずっと大きいスペインのような予備軍が控えている以上、ECBは絶対にモラルハザードを許さないでしょうから、ギリシャに選択肢は一つしかないのです。そのタイミングやプロセスに変動要因はあるものの、最終的にはECBが納得するような歳出削減案を受け入れるしかない、ということです。そうなると3.のため、ギリシャ国内ではチプラス政権は公約違反だ、ということになります。内閣総辞職して選挙を行い、ギリシャ国民の民意を問い、新政権の選択、という流れです。

 

現政権が突っ張り通し、一旦ユーロ離脱になってから上記のプロセスをたどるという可能性も、理論的には無くは無いですが、ユーロ離脱となれば新紙幣を印刷するなど様々な余計なコストが生じるため、現実的にはその可能性は無いと見ていいでしょう。

 

以上を総合すると結論は、「多少の時間稼ぎができる可能性はわずかにあるものの、基本的には6月末までにギリシャはECBが満足するような歳出削減案を提出し、問題に終止符が打たれる。その後はギリシャ国内の政権争い問題となり、国際社会に対する影響はなくなる」ということです。

 

そもそも、もともとギリシャ問題が国際社会を震撼させる要素など無く、「漠然とした不透明感」から市場心理に影響しているだけの状況ですから、ギリシャ問題解決に向けての「リスクオフの後退」あるいは「にわかリスクオン」は、ギリシャ問題解決で出尽くしとなり、次は日米欧の金融政策の方向性や中国経済の行く末など、真の意味で世界経済に影響を与える事象に市場の注目は移行するでしょう。