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2015年6月25日のマーケット・コメント

中国関連の2つの記事

 

本日、ブルームバーグ・ニュースが日立建機(6305)の社長と23日に行ったインタビューの記事が目を引きました。記事によると、日立建機の油圧ショベル需要は4月は前年同月比47%減、5月は48%減とほぼ前年比半減のペースだということです。中国での建設需要がいかに落ち込んでいるかが伺えます。実体経済の成長減速による落ち込みに加え、官僚腐敗追及の影響で公共部門の需要も減速していることが背景にあるでしょう。

 

もう一つ中国関連で目を引く記事が、日経新聞1面にありました。銀行の貸出残高が預金残高の75%を超えてはならない、というこれまでの規制を撤廃する、という内容です。狙いは当然、景気拡大減速を受けて銀行融資を増加させることにより景気下支えを図る、ということです。記事には「融資に関する当局や銀行の裁量の余地を広げ、中小企業や農業に資金が回りやすくする」とあります。この規制緩和ははたして中国経済にとってプラスに働くでしょうか?

 

日立建機の社長インタビューの通り、中国経済は成長減速が予想以上に進行している状況です。すなわち、資金調達需要は強くないということであり、銀行の融資規制が融資増加を阻害している状況とは考えにくいです。その状況を踏まえると、今回の規制緩和により2つのシナリオが考えられます。

 

1.資金需要は無いので、規制緩和しても融資は伸びない。

2.与信審査のハードルを下げて、これまでは融資しなかった先に融資を行うことで、融資が増加する。(おそらくそれに伴い、融資あっせんなどの名目で官僚が収賄する。)

 

1.なら「規制緩和はなんの効果も無かった」で終わりますが、2.になったら将来の不良債権の山が築かれることになり、中国経済の傷をますます深いものにしていくでしょう。中国の体質を考えると、2.になる可能性が高いと思います。