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2015年6月8日のマーケット・コメント

強い米国雇用統計-ドル円の新たなボックスの上限は?

 

先週末に、注目の米国雇用統計が発表され、その内容は予想よりも強いものでした。それを受けて、市場では年内利上げの可能性が高まった、ということでドルが更に上昇、ドル円は一気に125円越えとなりました。前々回のコメントで「新たなレンジの上限がどの水準になるのかも定かではありません。リーマンショック前の高値124.14円、5円刻みの125円、直近安値から9円幅の127円のいずれかだとは思いますが。」と書きましたが、すでに124.14円、125円は突破しました。

 

ドル円の短期需給を占う上で重要な、シカゴ投機筋ポジションの推移を振り返ってみます。年内どころか6月利上げの可能性をも排除しなかった4月29日のFOMC直前の4月28日(ドル円NY終値118.85円)には、円ショート・ポジションはほぼゼロでした。それが、5月19日(同120.69円)には22,005枚、5月22日のイエレン講演後の5月26日(同123.12円)には62,224枚、6月2日(同124.12円)には85,693枚と、円ショート・ポジションが積み上がってきています。

 

過去の推移を見ると、110,000枚-120,000枚でピークを付け、その後もみ合いに入れば緩やかに減少、円高方向への価格変動があれば急激に減少、というパターンでした。雇用統計を受けて円ショート・ポジションはさらに積み上がっていると思われ、短期需給面からはそろそろ一旦ピークアウトが近いと思われます。

 

また前々回のコメントで書いた

「6月17日のFOMCまでに織り込みが進み、FOMC声明で一旦仕上がる」

というシナリオの可能性は、今回の強い雇用統計の発表で一段と高まったと思われます。合わせて考えると、6月17日で127円程度でピークアウトし、そこから実際に利上げが行われるだろう9月17日までの3カ月間は、高値やや下でのボックス(例えば123.50-126円)での推移、その間に短期ポジションの整理が進み、9月17日の利上げ決定で上抜け、というシナリオがしっくりきます。

 

欧米株が調整基調にもかかわらず、日本株は下げ渋っています。しかし、以前のように先物で買い仕掛けが入り、どんどん上がっていく、という雰囲気は全くなく、むしろ売る崩しの仕掛けが散発的に入っているが、なかなか追従する向きが出てこない、という状況です。SQまでは買い方が頑張る、ということならば今週金曜日まで、円安ドル高進行しているうちは売り崩しが難しいということならば6月17日まで、ということになりますが、いずれにせよ時間の問題で日本株も欧米株の調整に追従する動きが始まるでしょう。