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2015年7月21日のマーケット・コメント

最近の株の戻り相場の中身-一番意識されているリスクは「世界景気の減速」

 

先週のギリシャ問題解決以来、日本株も含めて世界的に株式市場が反発しています。ただ、市場反発の中身、つまりは業種ごとのパフォーマンスを見ると、世界的に共通点があります。その共通点とは、「世界景気の変動に業績が左右されにくい業種は戻りが大きく、業績が世界景気に敏感な業種は戻りが鈍い」ということです。米国株でも最近の反発の牽引安は、グーグルに代表される、業績が世界景気の影響を受けにくいプラットフォーム・ビジネスモデルのインターネット関連企業です。(その結果がナスダック指数の最高値更新です。)

 

日本株の中身を東証業種指数のパフォーマンスで検証してみます。ギリシャ問題解決後の7月13日以降、本日引けまでの1週間でTOPIXは3.7%上昇しています。これを業種ごとに見ると、パフォーマンスの良い業種の順に挙げると、その他製品(これは任天堂の上昇が背景ですが)、保険、電力・ガスの順であり、その他にも小売り、サービス業、医薬品、陸運、食品が上位です。一方、パフォーマンスの悪い順に挙げると、鉄鋼、石油・石炭、金属製品、非鉄の順であり、その他にも鉱業、機械、卸売り(商社)、輸送用機器、電気機器などが下位です。

 

つまり、世界的に株式市場にとって「最大のリスクは世界景気の減速」だと認識されていると言えるでしょう。株式市場全体に占める世界景気敏感業種のウェイトは、米国株が全体の約15%であるのに対し、日本株ではその3倍以上の約50%あります。もし世界景気減速が業績に影響を与え始めた、ということになれば、日本株は米国株の3倍下落する、ということになります。

 

今日の安川電機(6506)を皮切りに日本でも4-6月期の企業業績発表が始まります。業績の世界景気からの影響に注目ですが、すでに業績に対する期待値は結構高く、少なくとも高値圏にいる日本株をさらに大きく押し上げる迫力のある内容になる可能性は限定的だと思われます。日本株は少なくとも「上げ止まる」か「ボックス圏内での調整」になる可能性が高いと思われます。

 

ドル円も想定されるボックスの上限近くに来ていますので、日本株の調整がもし起こるとすれば、いずれ相関が無くなるにせよ、初期段階ではドル円も円高ドル安に引っ張られる可能性が高いと思います。