「ギリシャ&中国」第3報
注目のギリシャ国民投票は、緊縮案受け入れ反対が60%を超え、圧倒的多数で「ノー」という結果となりました。「緊縮案受け入れ」=「目先もらえるものが減る」と、「緊縮案反対」=「現在の銀行取引規制が継続する」という国民の究極の選択の結果です。受け入れ賛成を織り込んでいた株式市場にとっては、予想通りネガティブ・サプライズという反応をしています。
「ノー」という結果を受けて、チプラス政権は「国民の民意で緊縮案は否定された。ぜひ国民に受け入れられるような案をご提示いただきたい。また、ギリシャはユーロからもEUからも離脱するつもりはない。」と居直ることは確実です。それに対して債権者側がどのような対抗措置に出てくるのか、はまったく予想できません。不透明な状況がしばらく続くでしょう。しかし、何度もご説明しているように、ギリシャは金融支援がなければ財政が回らない、ということは厳然たる事実です。問題解決にそう時間はかからないと思います。
ギリシャの問題は基本的に日本経済にも日本の企業業績にも関係ないので、それだけならば、日経平均の下値余地は20,000円割れにとどまるでしょう。しかし日本にとってギリシャよりも断然重要なのが中国株の動向です。政府は手を変え品を変え、必死に株価対策を打ち出しています。週末には、証券会社が資金を出し合い、日本円で2兆4000億円の株式買い支え基金を作る、という話が出ました。それにより、中国株は本日高寄りしましたが、寄ってからどんどん下落し、13時現在で上海総合は寄りから5.3%下落の前日比2.2%高、深セン総合は寄りから8.6%下落の前日比2.6%下落となっています。
買い支え基金は上海総合が4,500以上になるまでは株を売らない、という方針だそうです。しかしこれは「もはや5,178という高値を更新することは見込めない」という敗北宣言とも受け止められます。中国は、ずっと国家管理経済であり、本格的に市場経済を導入してからまだあまり経験がありません。打ち出してくる対策は、どれも「ど直球」であり、それでは市場を制御できません。
早ければ8月から、中国株大幅下落による中国経済への悪影響が顕在化し始めます。そのときは日経平均は20,000円を大きく割り、いよいよ下落トレンドの始まり、となるでしょう。
ドル円は朝方一瞬122円を割りましたが、すぐに122円台半ばに戻しています。「パニックの円買い」は先週前半と本日朝で完全に終了した、と見ていいでしょう。当面の想定レンジを122.00-125.00円(狭く言うと122.50-124.50円)と下限を0.50円切り下げますが、株下落でも円高進行とはならず、あくまでもレンジ内の動きにとどまると思います。