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2015年8月10日のマーケット・コメント

米国雇用統計発表終了-9月17日利上げ開始の可能性高まる

 

先週金曜日に米国で7月の雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数は21.5万人増加で、事前予想の22.5万人増加を若干下回ったものの、良好な雇用環境が継続していることを裏付けるには十分な数字だったと言えるでしょう。7月30日に発表された4-6月期GDPに続き、7月の雇用統計も9月の利上げ開始の障害となるような弱いものではなかったわけです。残るは9月4日に発表される8月の雇用統計ですが、余程弱い物でない限り、9月17日に初回の利上げが決定される可能性は極めて高まった、と言えるでしょう。

 

市場は9月利上げの可能性の高まりを徐々に織り込んではいますが、まだ「完全に」織り込んだとは言えない状態で、9月17日までは紆余曲折があり、実際の利上げ決定によりドル円は水準訂正が図られる、つまりは125円を明確に上回っていくと思われます。

 

紆余曲折の最大の要因は日本株の動向だと思います。4-6月期業績発表がほぼ終わり、製造業を中心に思ったほど業績が良くない銘柄が散見され、そのような銘柄の株価は素直に下落しています。しかし本日も含め、先物には継続的に買いが入り、結果として内需・ディフェンシブ銘柄の株価が押し上げられるという展開が続いています。本日も、業種ごとのパフォーマンスを見ると、上位の主要業種は、情報・通信、医薬品、陸運、小売、建設などである一方、下位の主要業種は、鉄鋼、機械、ガラス・土石、非鉄、電気機器などです。

 

この動きがいつまでも続くことは無く、いずれ二つのうちの一つが起こります。その二つとは、1.景気敏感製造業の業績が期待外れの銘柄でも、業績には目をつぶり「出遅れ感」を理由に買われる、2.先物で指数を買い上げる動きがピークアウトして指数が下落に転じる、です。1.すなわち「ワケあり出遅れ」を買い上げるには、海外要因が悪すぎます。海外要因とは、米国株をはじめとする海外株の動向と、中国をはじめとする海外景気の動向です。であればいずれ起こるのは2.ということになり、日本株の指数が下落、それに引っ張られてドル円は円高方向に一旦調整、という展開になりそうです。

 

ただし、9月17日に利上げ、そしてドル円の水準訂正が控えているわけですから、円高方向へ調整した際には、ぜひ「ドルの絶好の買い場」と捉えるべきだと思います。逆に、日本株の指数(日経平均やTOPIX)は現状水準ではカラ売りスタンスで臨むべきでしょう。先物のカラ売りができなくても、信用で指数連動ETFのカラ売り、それもできないとしてもインバースETFの購入と、「出来ることをやる」という姿勢が大切です。