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2015年8月24日のマーケット・コメント

中国株&米国利上げの見通し

 

先週後半から、中国株の再度の急落を受けて、世界的に株式市場は大幅下落、ドル円も大幅に円高ドル安方向に調整となっています。世界的な株価下落、新興国通貨下落を受けて、一旦コンセンサスになった9月17日FOMCでの利上げ見通しにも、再び疑問の声が上がってきました。そこで、中国株の見通しと、米国利上げの見通しについてあらためてご説明したいと思います。

 

まずは、単純な話である中国株からご説明します。ご存じの通り、6月から7月にかけての中国株の急落の後、中国政府は矢継ぎ早に株価対策を打ち出し、数週間小康状態でした。しかし先週水曜日に、上海総合指数4,000以上では積極的な株価買い支え対策を行わないと中国政府が表明したとたん、中国株は再び急落となりました。明らかに買い手は政府に限られているという証拠です。

 

これまでの中国政府の株価対策に関する言動を総合すると、上海総合指数4,000以上を買い上がりたくはない一方で、上海総合指数3,000は死守防衛ラインだという対応です。本日、上海総合指数は前引け時点ですでに3,211.20まで下落(本日8.5%下落)となっており、おそらく今日明日にも中国政府から新たな株価対策のアナウンスがあり、中国株は目先急反発することが予想されます。今回の世界的な株式市場の急落の原因が中国株だったわけですから、中国株が反発すれば世界的に株は反発すると思われます。

 

しかし、あくまでもそれは7月半ば以降と同様に、場当たり的な対策にすぎず、中国が抱える問題の根本的解決に繋がらないことは言うまでもないでしょう。現時点では中国政府の株価対策アナウンスメントに警戒(期待?)し、日本株にも目先は買いスタンスで臨み、予想道理の展開になったら戻りは売り、という対応をすべきでしょう。

 

次に米国の利上げについてです。結論から言うと、私は以前として9月17日の利上げ決定を予想します。今年に入ってからFOMC声明では、毎回のように「米国経済は堅調だがリスクがあるとすれば海外(米国以外)経済が予想以上に落ち込み、それが米国経済にも悪影響を与えることだ」と言ってきました。つまり、海外経済が予想以上に落ち込み、それが原因で米国経済も悪影響を受け、金融政策によって米国景気を刺激しなければならない事態になるかもしれない、と解釈されます。

 

以前からご説明してきたように、FRBも共和党もQE4は是が非でも避けたい、と考えているはずで、FRBがすでに道筋を作り上げた初回の利上げの目的は、金融政策による景気刺激策が必要になった際に「利下げ」出来るバッファーを作っておきたい、ということだと考えられます。まさに中国発で、FRBの言う「海外(米国以外)経済の予想以上の落ち込み」というリスクが顕在化し始めている状況を受け、「もはや利上げなどとんでもない」という意見が支配的にならないうちに初回の利上げに踏み切ると思うのです。

 

ドル円の見通しですが、8月12日のコメントは忘れてください。だましの動きでした。従前通り「利上げがあるまでは122-125円のボックス」という見方を維持します。現在、ボックスの下限であるはずの122円を下回っていますが、これは株の急落を受けて短期投資家が条件反射でドルロング&円ショートのポジションを解消する動きによるものであり、たまったポジションが整理されるまでの一時的な反応です。先週火曜日時点のシカゴ投機筋ポジションによると、円ショート・ポジションはそれなりに積み上がっていましたので、先週金曜日と今日の2日間で短期ポジションの整理は相当進んだと思われます。

 

株の反発とともにドル円も円安ドル高進行すると思われますが、再び株が急落してもドルロング&円ショートのポジションが積み上がらないうちにそれが起こるのであれば、今度はドル円は円高ドル安進行するエネルギーがたまっていないので、株安が円高を誘発することは無いでしょう。

 

結論としては、日本株は目先の買い場だが戻りは売り、ドル円は絶好の買い場ということです。