昨日の米国株の引けかたの意味&中国株価対策(利下げ)不発
昨日、中国株は大幅続落し、ついに上海総合指数は防衛ラインとみられる3,000ポイントを割り込み、中国政府による株価対策発表期待から、昨日は日本株の引け後に世界的に株価上昇し、中国での利下げが発表されると一段高しました。しかし、米国株は引け際に急落しました。引け際のわずか1時間にNYダウは500ドルも下落し、結局6日続落となりました。1時間で500ドル安という規模を考えると、これは投機筋の仕掛けではなく、明らかに大口の投資家の株式持ち高の削減です。
前回のコメントで、「目先は中国政府による株価対策で反発が予想されるが、戻ったところは売り」とご説明しました。その通りの行動を取った大口の米国株投資家がいたということでしょう。この動きが意味するところは、やはり大手中長期投資家が、株式への資産配分の変更(削減)を行ってきているということであり、世界的に株式市場が下落トレンド入りしたことが確認された、ということです。
中国政府の株価対策ですが、最も安易で、ある意味最もまっとうな「利下げ」という手法でした。株式市場の実需を直接生み出す「株の買い支え」的なものではなく、その株価下支え効果には、はなはだ疑問が残ります。実際に、先ほど中国株が始まりましたが、上海総合指数は高寄りした後すぐに失速し、早くもマイナス圏での推移となっています。NYダウ先物も、昨日の引け際に500ドルも急落した後にも関わらず、前日比マイナス圏での推移となっています。
日本株は、問答無用で売られた大型優良株のうち、好業績銘柄に個別の買いが入り、本日ここまで(午前11時30分時点)は、とりあえず堅調な推移となっていますが、資産配分変更により売却対象になるのは本日買われている銘柄群であり、個別物色がどこまで機能するのか定かではありません。市場全体としては、昨日日中とイブニングと2度戻りを試した後だということと、海外市場の軟調な展開を考えると、次は月曜日のイブニングで付けた日経平均先物の安値17,160円をトライしに行く可能性が高いと思います。テクニカルの教科書通り、以前の19,000-21,000円のボックスは、17,000-19,000円にシフトしたと思います。(ボックスの下限を明確に割り込むと、以前のボックスの下限が新たなボックスの上限になる。)19,000円近辺は、他にも200日移動平均線、下げの半値戻りというフシでもあります。
ドル円に関してですが、月曜日のNY時間に116円割れ寸前まで一気に急落した局面で、ポジション解消しなければならないドルロング&円ショート・ポジションはほぼすべて解消されたと思います。昨日今日は、日本株の動きに引っぱられる動きになっていますが、株安を受けての円高進行は、ドルロング&円ショート・ポジションの投げではなく、ドルショート&円ロング・ポジションの構築の動きだと思われ、これには2つの意味があります。株が急落したとしても月曜日のような暴力的円高進行は起こらないことと、ドルショート&円ロング・ポジションの積み上がりは将来の円安ドル高進行のエネルギーになることです。
結論としては、日本株は完全に下落トレンド入りしたと思われるため、基本的には売り姿勢だが、もし17,000円トライの動きがあればトレーディング買い、19,000円トライがあれば積極的にカラ売り。ドル円は、現状水準は絶好の買い場で、もし株下落に引っ張られて円高進行するようなら、ある程度のポジションリスクを取ってでも買い下がり、です。