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2015年8月28日のマーケット・コメント

米国GDP上方修正-9月利上げが濃厚に

 

昨日、米国で4-6月期の実質GDP成長率が、7月30日発表の1次速報値+2.3%(年率)から+3.7%(同)に上方修正されました。上方修正の主な要因は、非住宅固定投資(設備投資、構造物投資、知的資産投資)を中心に、最終需要が大きく上方修正されたことでした。また、在庫投資の成長寄与率は+0.2%にとどまり、在庫の積み上がりは起こっていません。非常に健全な内容での経済成長と言え、米国経済の底堅さを表しました。

 

最近の市場混乱を受けて、FRBの利上げ開始時期に関して、「9月ではなく12月だ」「年内には出来ないのではないか」などの意見が急増しましたが、このGDPの上方修正を受けて、9月17日のFOMCで利上げが決定される可能性が極めて高まったと思います。

 

あらためて、米国での利上げが及ぼす影響について考えます。まず、米国と日本を含めてそれ以外の国の短期金利に差が生じることから、為替はドル高になります。日本から見れば円安ドル高進行です。次に、利上げによって米ドルでの短期調達レートが上昇しますので、ドルで資金を借りているヘッジファンドなどは、新興国などの投資先から資金を回収してドル資金の返済を行います。つまり、新興国通貨&新興国資産の下落であり、ドル高です。さらに、短期金利の上昇は、株式市場のバリュエーションの低下要因となりますので、米国株の下落圧力となります。実際に、午後15時現在で、米国株先物はやや下落しての推移となっています。

 

つまり、今後市場が9月の利上げを織り込んでいくとすれば、ドル高進行、新興国通貨&新興国資産(主に株式と債券)下落、米国株軟調となると思われます。日本株は、海外株下落と円安ドル高進行という綱引きの構図になります。また、昨日GPIFの6月末時点までの運用状況が発表されました。6月末の日本株組み入れ比率は23.4%と、9月末終了に向けて着実に資産配分変更を行っています。ただ、最近の株価下落で組み入れ比率が低下して、日本株の買い余力が増えていると計算され、目先の日本株の下支え要因になりそうです。

 

結論としては、本日の米国株が下落で終われば、当面の日経平均は本日の19,000円強の水準を上限、18,000円前半を下限にした、一時的に値幅が狭くなったボックスでのもみ合いという見通しをメイン・シナリオと考えます。本日も米国株が続伸するようであれば、米国株が上げ止まるまで、日経平均も連れ高し、目先の高値から1,000円幅のボックス推移、ということがもう一つのシナリオです。