FOMC利上げ見送り!-予想がはずれ申し訳ありません
昨日NY時間に9月FOMC声明が発表されました。最大の注目点だった利上げの有無は、「最近の海外経済、金融市場の動向は、経済活動をやや抑制する可能性があり、短期的にインフレに一層の下向き圧力をかける可能性が高い」ことを理由に、今回の利上げ決定は見送られました。ただし、年内に1回の利上げを実行する、というスタンスは維持されました。今回初回の利上げが決定される、という私の予想は、外れる結果となり申し訳ありませんでした。
済んでしまったことを言っても仕方ないのですが、私は今でも「今回初回の利上げを決定すべきだった」と思っています。今回の利上げ見送りは、FRBにとって将来の重いツケとなってしまったからです。
これまで何度もご説明しているように、FRBの利上げの最大の目的は、将来の利下げ余地を作ることによるQE4の回避、であり、インフレ抑制などではないと考えています。今年に入ってから、FOMC声明で一貫して「米国経済は順調に回復しているが、将来の最大のリスクは米国以外の経済の予想以上の減速の悪影響だ」としてきました。わかりやすく言いかえると「現在の米国経済は利上げが検討できる程、順調です。しかし米国以外の経済は雲行きが怪しいです。もしかしたら、米国以外の経済が予想以上に腰折れて、その悪影響がさすがの米国にも及び、来年以降にFRBが景気刺激のために金融政策変更を行う必要が出てくるかもしれません。」となります。今後も絶対に「利上げの目的はQE4の回避だ」などという発言はなく、「利上げの目的は将来のインフレ圧力の抑制」と言い続けるでしょう。しかし、原油を始め商品価格が軒並み数年から十数年来の最安値近辺で推移する中、「将来のインフレ圧力の抑制」はとても本音だとは思えません。
今回「海外経済、金融市場の動向が不安定だ」ということを理由に、利上げを見送ってしまいました。GDPや雇用統計を始め米国経済データは何も問題なく、中国を始め世界的に株式市場は下げ止まり、ボラティリティは低下傾向にあるにもかかわらず、です。次回FOMCの10月28日に向けて、海外経済や金融市場、すなわち中国、欧州、南米経済や世界の株式市場が順調に回復していけば、次回FOMCで気持ちよく利上げを決めるつもりなのでしょう。しかし実際には、海外経済も金融市場も回復どころかさらに悪化し混乱する可能性のほうが、どう考えても高いでしょう。すると10月28日には、また利上げは見送りとなります。
問題は今年最後のFOMCである12月16日にどうするか、です。その時になっても海外経済、金融市場は、回復どころか混乱状態が続いている可能性が高いでしょう。その時、FOMCは「年内に1回の利上げ実施方針を表明してきたにもかかわらず、市場の混乱を理由に利上げを見送り、言行不一致となることによりFRBへの信認が損なわれ、QE4回避のための利下げの余地を確保するという目的達成も先送り」とするのか「(こんなことなら9月にやっておけばよかったが、)目的達成のために、市場の混乱は長期化しているが利上げ決定」とするのか、という苦渋の決断を迫られます。これが上記の「最大のツケ」です。その時にどちらを選択しても、市場の反応はネガティブになるでしょう。
なお、反発の上昇余地は18,500円超え位になってしまいましたが、日本株は9月中は反発の上値をもう一度試す、10月は大幅下落、10月30日に日銀が再追加緩和決定、という予想に変更はありません。ドル円が大きく円安ドル高進行するのは、再追加緩和の後、それまでは日本株に引っ張られながら狭いレンジでの動きでしょう。(日本株が大幅下落の時はある程度円高方向に引っ張られ、日本株の下落が小康状態に入ると戻る、というイメージ。)