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2015年9月4日のマーケット・コメント

今月予想されるGPIFの投資行動

 

8月27日にGPIFの6月末時点での運用状況が発表され、いくつか興味深いことが判明しました。注目の資産配分変更(日本国債削減、日本株、外国債券及び外国株買い増し)ですが、6月末時点での配分比率は、日本国債38.0%(新基準は35%)、日本株23.4%(新基準は25%)、外国債券13.1%(新基準は15%)、外国株22.3%(新基準は25%)でした。

 

3月末の各資産の残高及び3月末からの各市場推移を勘案して逆算すると、市場変動を除いた変動額(実際に売買を行ったと算出される金額)は、日本株はほぼゼロ、外国債券は約2000億円の買い増し、外国株は約1兆円の買い増しでした。なんとGPIFは4-6月期には日本株を全く買い増していなかったのです。データで検証することはできませんが、主体別売買動向の信託銀行の手口や市場の噂を総合すると、3月に入ってからほとんど買っていなかった模様です。

 

これを日経平均の推移と重ね合わせると、あることがはっきりわかります。「日経平均19,000円以上ではGPIFは日本株を買っていなかった」ということです。昨日発表された先週分の主体別売買動向で、信託銀行の手口が約2600億円と久しぶりに大きな買い越しになりました。先週水曜日には「GPIFが2000億円規模の買いを入れている」という噂が市場を駆け巡ったことを合わせて考えると、「GPIFは、日経平均18,000円台前半以下では日本株を買ってくる」ということが言えそうです。

 

最近の株式市場の市場下落により、9月末に資産配分を新基準ちょうどに変更するとすれば、昨日の市場価格をベースにすると、日本株、外国債券、海外株の買い余力は、それぞれ約3.9兆円(6月末時点では約2.3兆円)、約2.0兆円(同2.7兆円)、約5.0兆円(同3.8兆円)に変化しており、国内外株式の買い余力は大幅増加していると計算されます。(海外債券の買い余力は減少)変更のペースはちょうど9月末で終わらせるペースだ、ということはすでに何度かお伝えしました。

 

以上を総合すると、9月中にはGPIFは日経平均18,000円台前半以下になった次の日は、かなり高い確率で1,000-3,000億円規模の買いを入れてくる、と予想されます。(GPIFの株運用部分は自家運用ではなく委託運用なので、市場下落の当日には動けない、と思われるため「次の日」としました。)

 

来週GPIFの買いが入り、日経平均18,000円台半ばまでの反発はありそうなので、現在の17,800円程度はトレーディング・バイということですが、一方で巨大な中長期外人投資家の売りが控えているのは明白なため、値幅を欲張らず、さっさと利食うことをお勧めします。