中国株の安値めど-新たな?防衛ライン
昨日中国株は、資本流出加速懸念などから大幅下落(上海総合指数は6.4%下落)となり、昨年8月26日の安値を明確に下回りました。昨日、欧米市場では原油価格反発を受けて、株式市場は反発、その流れを受け継ぐ形で日本株も本日は急反発の動きになっています。しかし中国株は本日も下げ止まっていません。前場引け時点で上海総合指数は2.8%下落と、普通の市場の感覚なら大幅続落となっています。昨日中国株大幅下落でも、原油が反発したことを受けて欧米、そして日本を含むアジアのほとんどの株式市場が反発したことを考えると、世界市場はもはや「中国株」ではなく「中国を始めとする新興国の経済成長減速に起因する原油価格」との連動性を高めている、といえます。
その原油価格ですが、昨日の反発の要因はイラクの石油相が、「OPECとロシアが減産に前向きになっているようだ」と発言したことですが、信憑性はかなり低いと考えています。OPEC諸国もロシアも歳入不足に直面しており、歳入不足を更に深刻にする減産に踏み切るとは考えられないからです。また、イラクの石油相が「イラクが減産に前向きになっている」と発言したのなら信憑性がありますが、イラクはOPECに加盟して入るものの発言力は弱いため、OPEC全体の方針など決められる立場にありません。しかも、ロシアというOPEC加盟国でもない他国の姿勢などになぜ言及できるのか謎です。そう考えると、今回のイラク石油相の発言は「単なる口先介入」に過ぎない可能性が高く、ショートカバー一巡で原油相場は再び下落基調に戻るでしょう。それは世界株市場の更なる下押し圧力となります。
ところで、上海総合指数の目先の安値めどですが、チャートで見ると、もはやバブル相場が本格的に始まった2014年11月の2,500近辺までフシがありません。PERで考えると、バブル以前の中国株のPERは10-12倍での推移でした。現在の上海総合指数のEPSが190ですので、PER10-12倍は1,900-2,280です。
以前は、中国政府の考える防衛ラインは上海総合指数3,000だ、と言われていました。しかし昨日今日の値動きを見ると、中国政府はもはや3,000を防衛ラインにはできなくなったようです。元の買い支えで手一杯で、防衛ラインは2,500に後退、ということではないでしょうか。