日銀動いた!しかしその効果は?
本日の日銀決定会合で、日銀は日銀当座預金の金利をプラス0.1%からマイナス0.1%に引き下げることを決定しました。日銀当座預金は、銀行が融資などで使い切れずあまった資金を置いておくところ、という位置づけで、これまでは0.1%の金利がもらえましたので、各銀行は喜んで日銀当座預金を活用していました。その金利がマイナス0.1%になる、ということは、資金を置いておくと0.1%の手数料が取られる、すなわち0.1%の「貰い」が「払い」になるという、銀行収益を圧迫する政策変更です。現に、銀行株は本日後場売られています。
では、あまった資金の置き場に困る銀行が、これまで以上に信用リスクを取る、すなわちこれまで貸せなかった信用リスクの高い先に融資を行うようになるのでしょうか?それは絶対にないことです。ECBは当座預金のマイナス金利を導入してしばらく経過、さらに昨年12月にはマイナス幅を0.3%に拡大しましたが、ユーロ圏の銀行が積極的に信用リスクを取るようになったなどということはまったく起きていません。
繰り返しになりますが、年明け以降の世界同時株安の原因は、新興国経済成長減速と資源価格大幅下落のスパイラルによって、世界中の景気敏感銘柄の業績が大きな悪影響を受ける、ということです。日本で昨日業績発表した銘柄でも、ファナックをはじめ業績懸念から株価が大幅下落している銘柄が散見されます。日銀当座預金がマイナスになったところで、業績懸念の問題の解決にはなんら寄与しないのです。つまり、マイナス金利が、日本の企業業績に与える影響は「銀行収益の圧迫」しかないのです。
一方、マイナス金利導入は円にとっては強烈な円安要因です。資金の置き場に困った銀行は、利回りがマイナス0.1%の水準まで短中期国債を買う以外に置き場所がなく、外人投資家にとって円が避難通貨ではまったくなくなるからです。時間の問題で、今回のマイナス金利導入は、日銀が円を安値誘導したい、としか解釈できないという評価になるでしょう。
結論として、日本株は絶好の売り場到来と捉え、ドル円は強い買い増しスタンスで望むべき、ということです。日経平均は今日瞬間的に3分の2戻りの水準まで戻り、下げ相場での戻りの戻り達成感も出ているように思います。