中国大型ゾンビ企業の破綻
市場であまり話題になっていないですが、昨日、中国で東北特殊鋼集団という売上高3000億円規模の国有企業が破綻しました。負債総額は約8,000億円です。東北特殊鋼集団は、今年に入って予定通りに借入金返済支払いができない、いわゆるデフォルトが9回にもなり、本来ならとっくに破綻しているはずなのに政府の支援により破綻しないで存続している「ゾンビ企業」の代表の一つでした。
今回の破綻には2つの意味があると思います。
1.本来なら破綻しているはずの業績悪化企業を中国政府が支援して存続を続けていることが、中国の過剰生産につながり、それが世界的な市況の下押し要因になっており、世界経済の減速要因になっている、という国際社会からの批判に対して、破綻すべき企業は破綻させています、というアピールを中国政府が行なった。
2.中国経済の減速が続き、ゾンビ企業に対する政府支援をこれ以上拡大させる余裕がなくなってきた。
上記2.の要素が小さければ、破綻のスピードは政府のコントロール下にあるといえますが、2.の要素が大きかった場合、政府が望む以上のスピードでゾンビ企業の破綻が進むことになります。
当然ですが企業破綻は、従業員の失業、金融機関や取引先企業の債権回収不能という被害を通じて、経済の下押し圧力となります。世界の工場といわれていた時期とは違い、経済成長と賃金上昇を遂げ、中国はいまや巨大な消費市場です。また巨大な設備投資市場でもあります。経済状況が悪化した場合、不要不急の支出を避ける、という対応は世界共通でしょう。個人の場合は耐久消費財(自動車、家電製品など)の買い替え見送り、企業の場合は新規設備投資見送り、が典型的な対応です。中国経済の更なる成長減速は、設備投資と耐久消費財に関連する世界中の企業の業績悪化に繋がります。
米国では昨日のアルコアから業績発表が始まりました。トップバッターのアルコアは、7-9月期売り上げ、利益ともに予想を下回り、見通しも下方修正したことを受けて、株価は11%の急落となりました。日本では10月20日の安川電機(6506)から業績発表が始まります。日経平均が2月以降のレンジ(おおむね15,000-17,000円)の上限近くにいる中、業績発表による株価の下値リスクは大きいでしょう。