クリントン陣営に波乱要因発生-大統領選挙後もリスクオフの可能性
先週金曜日に、米FBIが「大統領候補クリントン氏の、国務長官時代のメール問題の操作を再開する」と発表し、これを受けて米国株は下落しました。当然、トランプ氏はこの情報を11月8日の大統領選挙に向けて、攻撃材料として使うでしょう。もしその結果、現在はクリントン優位で大差が付いている両者の支持率が接近していくようなら、当然選挙に向けての市場波乱要因になります。そもそも今回の選挙は「クリントンかトランプか」という選択肢に「どちらも嫌だ」という選択肢があれば、それが多数になるだろう不思議な選挙戦ですので、土壇場になって支持率が変化する可能性は十分あると思います。
選挙が終われば不透明感払拭となるかというと、そうではありません。もしトランプ勝利となったら、Brexit当時並みのパニック相場になるだろうことはいうまでもないですが、クリントン勝利でも不透明感払拭にはなりません。理由は以下の2点です。
まず、クリントン氏が政策面で何をどのような優先順位で行なうのか、非常に不透明だという点です。通常であれば、テレビ討論などで政策論議をお互いにし尽くし、選挙日を迎えます。しかし今回は、御存知の通り、両者はお互いのプライベートな問題を非難することに終始し、その結果、政策論議はほとんどなされていない状況です。女性初のクリントン大統領誕生となったものの、一体どのような政策を打ち出すのかわからないことに、市場はリスクオフで反応する可能性は十分あります。
次に、今回のFBI捜査再開により、現職大統領がFBIに訴追される可能性がある、ということです。FBIの捜査終了まではある程度時間がかかると思われ、この不安もなかなか払拭されないでしょう。これも市場のリスクオフ要因になりえます。
現在、日本でも業績発表が本格化しています。事前予想に比べて「思ったより悪くない」銘柄は買われ、「思った以上に悪い」銘柄は売られる展開となっています。しかし、一部の例外的銘柄を除くと、良い(増益)か悪い(減益)かといえば悪いのです。加えて、外人投資家(おそらく短期外人投資家)が先物主導で指数を押し上げてきた現状水準を考えると、米国市場発のリスクオフ相場になった場合、日本株は非常にもろい状態にある、と考えられます。