日米の短期筋ドル円ポジションの推移
米国の短期投資家のポジションを現す指標として、いわゆる「シカゴ筋ポジション」があります。過去の推移を振り返ると、今年年初に円ショートから円ロングに変わり、1月に円ロングが積みあがって以降、円ロングの高止まりが続き、10月初旬に円ロング・ポジションが直近で最大になり、その後、円ロングはやや減少して米大統領選を向かえました。大統領選を受けて円ロングは急激に減少し、11月29日時点では269枚とわずかながら円ショートに転じ、12月6日時点では33,937枚、12月13日時点では63,429枚と円ショートが急激に増加しています。
一方で、日本の短期投資家のポジションを表す指標として「クリック365建て玉」があります。過去の推移を振り返ると、今年5月末まで高水準のドルロング・ポジションが続き、6月にかなり減少したものの7月以降も小幅なドルロング、10月初めにドルロングはほぼゼロになり、10月11日時点でわずかながらドルショートに転換。米大統領選挙直前の11月8日時点でほぼフラットでしたが、大統領選を受けた11月15日時点では126,192枚のドルショートになり、その後もほぼ同様の水準のドルショートで推移して、12月6日時点では140,694枚。(シカゴ筋ポジション1枚=クリック365建て玉10枚)
以上のことから言えることは、
1.米国の短期投資家は変わり身の早い順張り。特に大統領選挙後の変わり身の速さは驚き。平均的な米国の短期投資は、推定簿価110円程度の円ショートで含み益。
2.日本の平均的投資家は、推定簿価107円程度のドルショートで含み損。ただし、ポジション量は直近最高水準の700,000枚に比べ小さく、打診的なポジションしか取っていないか、何もしていない投資家が多いと思われる。
3.「ポジション整理=リスクを解消するためのポジション・クローズ」の方向は、米国では円ショートの解消(円高ドル安要因)、日本ではドルショートの解消(円安ドル高要因)。シカゴ筋ポジションの直近最高水準は120,000枚なので、63,429枚のエネルギーは中程度。日本のエネルギーは小。もしドル円が大きく調整(円高ドル安進行)するなら、東京市場よりも米国市場で起こりやすい。
4.米国のポジション量は直近最高水準のまだ約半分に留まるため、順張りでポジションが更につみあがり、現在の波動の円安ドル高進行が続く可能性はある。
「シカゴ筋ポジション」「クリック365建て玉」はこちらで見ることができます。
http://www.forexwatcher.com/cmepos.htm