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2016年12月22日のマーケット・コメント

トランプ氏は本気で米中貿易戦争を行なう模様

 

昨日米国で、「トランプ時期米大統領が、ホワイトハウス内に国家通商会議(National Trade Council)を新設し、その責任者にピーター・ナヴァロ氏を起用する」との発表がありました。ナヴァロ氏はカリフォルニア大学教授で、大統領選挙期間中からトランプ氏の唯一の学者ブレーンでした。

 

問題は、ナヴァロ氏が過激な反中論者だ、ということです。2011年出版の「Death By China(中国による死)」(意訳すると「米国は中国に殺される」)では、中国が人民元レートを意図的に安値誘導し、また中国企業に輸出補助金を与えるなどして、米国の貿易赤字増加要因となっている、と主張しています。トランプ氏の反中政策の根幹は、まさにナヴァロ氏の主張そのものなのです。そのナヴァロ氏を政権要職に迎える、ということは、トランプ次期米大統領は本気で反中貿易政策を実行しようとしている、ということです。発表のタイミングも、12月19日の選挙人投票が終わり、法的に次期大統領に決定した後、という入念に考えられたものだということが伺えます。

 

米国の反中貿易政策に対して、中国は当然対抗措置を取るでしょうが、中国から米国への輸入金額に対して米国から中国への輸入金額は小さく、たとえ中国が対抗措置を取ったとしても中国へのダメージは大きくなります。ただでさえ多数の経済問題(シャドーバンキング、不良債権、不動産バブル、都市部と地方部の格差拡大など)を抱える中国にとっては大打撃となるでしょう。当然、日本も無関係ではいられません。地理的な事情などから先進国の中でも日本企業の中国依存度は突出して高く、企業業績は悪影響を受けます。特に、支出削減対象になりやすい耐久消費財(自動車、家電製品など)の買い替えや設備投資に関連する企業が、売り上げ減少という形で大きく悪影響を受けることが予想されます。売り上げの減少は円安進行では補えません。

 

また、アップル製品の組み立てなどを事業とし、現在シャープ(6753)の親会社でもある台湾企業のホンハイは、ソフトバンク(9984)と共同で米国内に工場を新設して10万人の雇用を創出する、とトランプ氏に伝えたとされています。現在、ホンハイの主力工場は中国にありますが、もしホンハイが本気で工場の中国脱出を図ってくれば、それは中国にとっては大打撃を越して衝撃となるでしょう。

 

これで2017年の市場波乱要因がまたひとつ増えました。

ちょうど手元にナヴァロ氏に関する記事がありましたので、ご参考に。

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