日米株の下落は「1月下落予想」の先取りか
昨日の米国株の下落や円高ドル安進行を受けて、日本株は安く始まりましたが、さらに寄ってから下げ幅を拡大する動きとなっています。日米ともに、2014年-2016年まで3年間続けて1月は下落したことから、市場では1月下落を警戒する意見が高まっています。
1月が下落月になりやすい理由はいくつか挙げられます。
1.年内に実現益を出して課税されることを嫌がり、年明けまで益の実現を持ち越し、年明けに益を実現させる動き。
2.四半期が切り替わることによって、中長期投資家が資産配分変更を行ないやすくなる。
3.クリスマス休暇、年末年始が終わり、投資家が浮かれ気分から冷静になり、反動でリスク回避的行動を取りがちになる。
今回の場合、1.の要素が通常よりも強く働く見込みです。トランプ次期大統領が減税政策を打ち出しており、2016年よりも2017年の税率が低くなる期待があるため、より多くの投資家が益の実現の越年をしてくる可能性が高いからです。また、3.の要素も今回は重要でしょう。11月9日(日本では11月10日)以降、いいとこ取りのトランプ相場が続きました。ユーフォリア(陶酔)状態だったと言っていいでしょう。しかし、新興国への悪影響を初め、トランプ政策には弊害もあり、内部矛盾もあります。米国株の投資家が年明けに強い楽観の反動で、リスク回避的な行動を取り始める可能性は高いでしょう。
今年年初のように、年明けすぐにリスク回避的な動きになるかもしれませんが、年明けすぐに始まらなくても警戒を続ける必要があります。「1月下落予想」に賭けた短期投資家が多い場合、年明けすぐに下落しない場合、彼らがあきらめてポジションを閉じるまで相場はもみ合い(あるいは若干上昇し)、その後リスク回避的な動きが表面化する可能性が高いからです。1月下落への警戒が例年よりも高いと感じられるため、私は「年明けて、タイムラグの後に下落」という可能性が高いと思います。
ドル円ですが、本日日本時間で日本株下落を受けて、NY引けよりも更に円高ドル安進行しています。株安円高という相関が依然存在しているということです。ただ、米国長期債が上昇(米国長期金利が低下)しており、金利差縮小が円高ドル安の要因だ、という解釈も成り立ちます。現在の市場状況では米国株が下落する際には米国長期国債が買われやすいので、当面はどちらで表現しても同じことですが、いずれドル円は「株価動向」と「日米金利差動向」のどちらかを優先して動くようになりますので、その点の変化への注意が重要です。