来週のFOMCの注目点
来週14日のFOMCが迫り、クワイエット・ピリオド(FOMC前1週間の、FRB関係者が発言できなくなる期間)入りする直前となった昨日に、ダドリー、ニューヨーク連銀総裁、エバンス、シカゴ連銀総裁、ブラード、セントルイス連銀総裁の、いずれも今年のFOMCで投票権を持つ連銀総裁3名が、次回会合での利上げに前向きな発言を行ないました。FFレート先物から逆算される「市場が織り込む利上げ確率」も100%で推移しており、まず間違いなく14日会合で利上げが決定されるでしょう。
市場が織り込む利上げ確率が100%ということは、実際に利上げがあっても、それは完全に市場に織り込まれている、ということであり、利上げ自体は市場を動かす材料にはならないでしょう。市場を動かす材料として注目点は、2017年のドット・チャートです。ドット・チャートとは、FOMCで現在投票権を持たない連銀総裁を含めた、FOMC関係者全員の予想FFレートをまとめた表です。3,6,9,12月の年4回のFOMCで公開されます。前回9月21日FOMCの時は、2017年の利上げ回数を2回とする関係者が最も多かったです。
一方市場では、トランプ大統領誕生を受けて、積極的財政出動や大型減税による期待インフレ率上昇から、2017年の利上げ回数を3回と予想する意見が出てきています。3回の予想は多数派ではないことを考えると、来週のFOMCで2017年のドット・チャートで3回予想が増えれば、一段のドル上昇、前回から変化が見られず2回予想が多数派のままなら、ドルはやや調整と思われます。
私は、ドット・チャートに変化はない、と予想します。まだ積極的財政出動や大型減税の具体的な内容がまったく出てきていないどころか、12月19日の投票人による大統領候補投票も終わっておらず、法的にトランプ氏が大統領と決まってもいない段階で、FOMC関係者が利上げ予想回数を変更してくるとは思えません。またFRBとしては、過度(急激)なドル上昇や長期金利上昇を回避したい、と考えているはずなので、FOMC声明文では、今回は利上げを行なうが、2017年以降の利上げは引き続き「緩やかに」行なっていく、ことが強調されるのではないでしょうか。
前々回のコメントで予想したとおり、日本株もドル円も高値もみ合いが続いています。少なくとも14日のFOMCまではこの状態が続き、FOMC後年内は軽く調整、年明け以降にこれまでとは逆向きの新たな値動きが出る、という予想を維持します。新たな値動きとは、新興国不安による株下落主導の円高株安ですが、ドル上昇の原動力となってきた米国長期金利が大幅低下するとは思えないため、ドル円と日本株の相関はいずれ弱まっていく、と考えられます。つまり、日本株下落に対してドル円が下値抵抗力をつけていく、と思われます。