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2016年2月2日のマーケット・コメント

値幅での戻りは十分、次の下げ波動の始まりに備えを

 

日銀のマイナス金利導入を受けて、先週金曜日、昨日と日本株は続伸し、日経平均は18,000円に迫りました。下げのスタートが19,033円、安値が16,017円ですから、3分の2戻り(18,028円)にあと少しというところまで戻ったことになります。これで値幅での戻りは達成したと考えられ、今は次の下落波動に備えるべきだと思います。

 

1月29日のコメントでもご説明しましたが、日銀のマイナス金利によってもたらされることは、日銀当座預金で0.1%の「貰い」が「払い」に変わるだけでなく、国債利回りの低下や融資増額競争により金融機関の運用収益の低下だけです。世界経済で現在問題になっている、新興国経済成長減速と資源価格大幅下落のスパイラルにとっては、なんら好影響はありません。

 

日本を含めて世界的に10-12月期業績発表が相次いでいますが、「予想下方修正は当たり前、予想据え置きで上出来」という状況です。「株価は業績の鏡」といわれますが、もっと正確に言えば「株価は予見できる業績動向の鏡」です。業績動向以上に強い株価決定要因はないということであり、たとえ為替が円安進行しても業績が悪化すれば株価は当然に下落します。また、原油価格が底打ち反転する根拠となるようなニュースフローもありません。その状況を考えると、株価が上昇継続するということは考えられません。

 

ただし注意していただきたいことは、戻り達成の後にすぐに次の下落波動が始まるとは限らず、しばらく戻り高値圏でもみ合ってから下落波動が始まる、ということが往々にして起こるということです。新たな下落波動は、いくつかの悪材料が偶然シンクロして始まるものであり、その時期は事前には予想できません。過去のパターンを振り返ると、しばらくもみ合いの「しばらく」は、短ければ数日、長いときは1ヶ月程度でした。ひとたび新たな下落波動が始まったら、スタートから15%程度の下落となりますので、スタートを昨日高値17,905円とすれば安値めどは15,219円、もし急激に下落する波動が始まるのが17,650円であれば安値めどは15,000円となります。

 

短期から10年国債までの利回りが消滅してしまい、20年国債、30年国債の利回りも史上最低水準で推移する中、生保や年金は外債投資を増やさなければならなくなるでしょう。それは円安進行要因となります。為替リスクを取った投資が、基本的にできない銀行はもっと大変です。これまで貸せなかった相手に融資する、すなわち信用リスクを積極的に取るわけには行かないので、これまですでに融資を行っている相手の融資増額を図ることになりますが、各銀行はどこも同じ状況ですので、少しでも他行よりも低い貸出金利を提示する必要があります。マイナス金利発表後、銀行株はかなり下落しましたが、銀行株を買う状況ではありません。

 

株の新たな下げ波動が始まる初期には、ドル円も120円割れ程度まで引っ張られる可能性はありますが、マイナス金利を導入した以上、1月のように116円台まで引っ張られることはない、と考えます。もし株下落を受けて120円割れがあるようなら、そこは買い向かいたいところです。