米ドルの独歩安は一過性と見るべき
昨日の米国市場で、ISM非製造業景況指数が事前予想の55.1に対して53.5だったと発表されたことをきっかけに、米国株下落、米ドル下落、原油急反発という市場の反応になりました。米国株は引けにかけて買いなおされましたが、米ドル安、原油高はそのままでした。米ドルは主要通貨に対して1.6%の下落と、2009年にQE1をはじめたとき以来の大幅下落となりました。
3月利上げの可能性は、年明け以降、市場で低下が織り込まれていましたので、昨日のISM非製造業指数の発表で一気にファンダメンタルズの見方が変わったというわけではありません。そのことを考慮すれば、この背景は、弱気相場の途中に時々起こる、ポジションの急激な巻き戻しだと考えられます。日々売買を繰り返す「短期投資家」のポジションというよりも、ファンダメンタルズに沿ってもう少し投資期間の長い「短中期投資家」のポジションです。つまり、新たに何かを織り込み始めたというわけではなく、継続性のない動きであり、動いた値幅を考えると、米ドルも原油もポジション調整は昨日1日で終わった可能性が高いと思います。米ドル安、原油高は一過性のものであり、短期間のうちに修正が図られるでしょう。
一方で株式市場の下落は、日本で業績懸念から大幅下落する銘柄が日々散見されますように、世界的な経済成長減速から来る企業業績悪化懸念が原因です。これは、多少原油が反発したとか3月利上げの可能性が低下したくらいのことで解消される性質のものではありません。世界的に株式市場の下落トレンドは、企業業績発表を受けて業績悪化が懸念から顕在化してきている以上、より強化されていると見るべきです。下落の仕方ですが、先物・オプション主導ではなく、現物株主導の下落相場ですので、大幅に乱高下しながら下落するというよりも、日々の下落幅はそれほど大きくないが、着実に下落していく、というイメージを持っています。