主力株全体に現物株売り&ドル円大幅調整の背景
本日の日本株は、昨日の欧米株下落や円高ドル安進行を受けて、まさに全面安の展開となっています。業種別の騰落率を見ても、最も下落している証券や銀行などが7%程度の下落、最も下落していない食品、陸運、医薬品などがおおむね4%程度の下落です。2月2日に典型的に見られたような、ファンド・マネージャーによる景気敏感業種から内需・ディフェンシブ業種への資金シフトの形跡はほとんどなく、もっぱらアセット・アロケーターによる株式組み入れ比率削減決定を受けて、保有全銘柄を輪切りで売却している動きです。
更に本日の日本株の下落を大きくしているのが、昨日後場の意味不明の先物主導の買い上がりでしょう。昨日の上昇を見て背中を押されて、日本株の削減を決めたアセット・アロケーターもいるかもしれません。
10-12月期業績発表も峠を越し、全容が見えてきましたが、現時点で今期会社予想は2014年度比でほぼフラット(増益でも減益でもない)です。下方修正確実なのにいまだに下方修正を出していない会社も少なくありませんから、3ヵ月後の本決算発表のときの着地は、ほぼ間違いなく減益でしょう。(現在の状況で逆、つまり上方修正なのにまだ発表していない、ということは考えられません。)数ヶ月前まではコンセンサスは20%近い増益だったことを考えると、まさに様変わりです。来期予想のコンセンサスはいまだに2桁の増益ということになっていますが、時間の問題で2桁の減益という話になるでしょう。7-9月期には減益幅は20-30%になるかもしれない、ということを市場は織り込むと思われ、そのときには日経平均は13,000円程度になるでしょう。
ドル円は、まったく想定していなかった115円割れの水準までの調整となっています。短期投資家のポジションはすでに年末時点でドルショート&円ロングに傾いており、ここに来ての円高ドル安は短期投資家のポジション整理が原動力ではありません。注目すべきことは、これまでは「リスクオフ」ということを背景にNY市場で大幅に円高ドル安が進行していたのに対し、今日は東京市場で大幅に円高ドル安進行となっていることです。海外に円を売る必要がある投資家は基本的にいないですが、日本にはF/X口座などを使いドルのエクスポージャーを保有したい投資家は多数存在します。今日の円高ドル安は、そのような「日本の中長期ドル投資家」が、想定を超える調整を受けやむにやまれずポジション縮小している動きが背景だと考えられます。つまり調整は「かなりいいところ」まで来たということであり、何かをきっかけに急激に動くとすれば円安ドル高方向だ、ということです。
余力管理に注意しながら、うまくドルの買い増しを行いたいところです。