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2016年3月24日のマーケット・コメント

にわかに浮上してきた4月利上げの可能性

 

今週に入り、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁、アトランタ連銀のロックハート総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、シカゴ連銀のエバンス総裁と、立て続けに「米国経済は良好だ」「4月の利上げもあり得る」との発言がありました。それに続き昨日はセントルイス連銀のブラード総裁も「早ければ4月にも利上げがあり得る」と発言し、ドルの反発につながりました。

 

これまでFRBは「市場との対話」ということで、事前に政策変更を示唆し、それを市場に十分に織り込ませてから、サプライズのない形で政策変更を行なう、という手法を多用してきました。特に、現在のイエレン議長は明らかに「サプライズ嫌い」ですので、今週の連銀総裁の相次ぐ「4月利上げ示唆」は、明らかに4月利上げを市場に織り込ませたいというFRBの意図だと思われます。

 

市場環境としては、ドル高は完全に落ち着き、原油は40ドル回復、米国株も年初からの下落を回復という状況です。雇用統計も十分良好です。また中国株、中国元の動きも落ち着いてきています。更にここに来て、市場のインフレ期待が高まってきていることがあります。市場のインフレ期待を現す、米国1年国債とインフレ連動債の利回り格差(ブレークイーブンレート)が2%を超えて上昇してきているのです。これらの市場環境を考えると、4月27日時点の市場環境が現状から大きく悪化しない限り、FRBは利上げを決定する可能性がかなり高い、といえるでしょう。

 

今後市場が4月利上げを織り込んでいくとすれば、確実なのは原油を初め商品、および新興国の通貨、債券、株はピークアウトから下落トレンドに、ドルはじり高でしょう。米国株は上値は重くなるのは確実ですが、米国株の構成は世界で最も景気敏感業種のウェイトが低く、その結果、米国企業の業績動向は相対的に世界の中でもっとも堅調になりますので、大きく下落するかは疑問です。ドルが全面高する中、円ロングポジションがたまっていることもあり、ドル円もゆっくり円安ドル高進行となりそうです。日本株は円安進行と業績悪化の綱引きとなります。4月後半からの業績発表で業績悪化があらためて認識されるまでは、円安進行と業績懸念の対立で揉み合い、それ以降は業績悪化が勝り下落トレンドへ、と予想します。