いよいよ始まった業績発表
日本株は先週、火、水、木と買い戻し相場が続き、金、月と逆回転が始まりましたが、米国株&原油市場の切り返しを受けて、本日買い戻し相場が大復活しました。しかし、前回のコメントでも書いたように、買い戻し相場は短期的な値幅は出るものの短命に終わります。日経平均も17,000円手前と、戻りはいっぱいいっぱいの水準に来ており、ピークアウトに備えるべきでしょう。
米国では企業業績発表がすでに始まっていますが、これまでのところ主要企業では金融など非製造業が中心だったため、「恐れていたほど悪くない」という反応になっていますが、今日のインテルから製造業の業績発表が始まりますので、内容次第で市場での評価は変わる可能性があります。また、今日の東京製鐵(5423)から、いよいよ日本でも企業業績発表が始まりました。注目の今期営業利益会社予想は、約50%減益の90億円とコンセンサスの157億円を大きく下回りました。今後も今期会社予想がコンセンサスを大きく下回る景気敏感銘柄が、多数出てくることが想定されます。
また、日本と米国の株式市場の業種構成の違いも重要です。日本では「海外景気敏感業種」が、時価総額で市場全体の約50%を占めるのに対し、米国では約15%に留まります。すなわち、米国株市場はディフェンシブ性が高く、その結果高いバリュエーションが正当化されるのです。「日本株が米国株に対して出遅れている」という議論はナンセンスであり、林檎とメロンを比べるようなものだということです。
中長期外人投資家の資産配分担当者は、年明け以降明らかに、株式全体を減らしてきています。その一方で、上記の業種構成の違いや米国景気の相対的堅調さから、カントリー・アロケーションの担当者は、米国株のオーバーウェイトの度合いを強め、日本株などのアンダーウェイトの度合いを強めている、と推察されます。今後も米国株の相対的優位性は続くでしょう。そうは言っても、史上最高値更新はやりすぎだと思うので、米国株も調整局面が近いと思いますが。
G20で為替介入に釘を刺されたこともあり、ドル円はまだ独自の動きをするとは考えられず、株下落の際には下値を試しに行く可能性が高いでしょう。以前もご説明したように、理屈には合わない方向の流れではありますが、できてしまった流れを変えるには誰の目にもわかりやすいきっかけが必要です。「きっかけ」となり得るのは、日米中央銀行の政策変更か、赤字国債を財源にしたバラマキ的な財政出動です。しばらく見るも相場と割り切り、「きっかけ」が出てから思い切りドル買い参戦がよさそうです。