日本株急騰劇の背景判明
前回のコメントで「そろそろピークアウトに備えましょう」と書きましたが、その後も上昇基調が続きました。特に昨日の上昇は、買い戻し主導ではなく、久しぶりに優良銘柄を選別的に買う動きが見られ、非常に大きな違和感がありましたが、今日の午後、今回の急騰の背景が正体を現しました。「日銀が銀行に対する貸出金利もマイナスにする」という報道です。「ETF買い入れ額の増額」に続き、来週28日の日銀決定会合での政策変更内容のリークです。この情報を事前に察知した大型ヘッジファンドが、先週の火曜日から買戻しをはじめ、今週は買いポジションを作っていたと考えると、この2週間の急騰が腑に落ちました。
これで、28日の決定会合での以上2点の政策変更は、完全に市場に織り込まれました。28日に、それらに加えて何かが決定されないと「材料出尽くし」、もし何も変更なしだったら「ネガティブ・サプライズ」となる構図が出来上がりました。来週は、28日の発表までは、高止まりする可能性が高く、もしドル円の円安進行が続けば、じり高になる可能性もあります。(投機筋の円ロング・ポジションは過去最高水準まで積みあがっており、巻き戻しの動きが持続する可能性は少なくありません。)一方で、業績発表が本格化しますので、個別銘柄では業績発表を受けて株価が大きく動く銘柄が増えていくでしょう。
「日銀が銀行に対する貸出金利もマイナスにする」ことの効果ですが、そもそも銀行は資金が余っているので日銀当座預金に資金を積んでいるわけです。(いわゆる「ブタ積み」)資金余剰の状態にある各銀行が、日銀から資金を借り入れる需要などあるはずもなく、効果は期待できそうにありません。また、一方で余剰資金を日銀当座預金に積んでいる銀行が、他方で仮にマイナス金利で日銀から資金を借りたとしても、貸出先や投資先がないため、その資金は余剰となり日銀当座預金に返って行くだけであり、銀行の収益にも何のインパクトもありません。前回のマイナス金利政策導入のように「弊害だ」という評価にはならなくても、「何の意味もない」という評価になるでしょう。