米国雇用統計とその後の市場の反応
先週末に米国で雇用統計が発表されました。非農業者部門雇用者数は、事前予想の205,000人増加を若干上回る215,000人増加、平均時給も事前予想の0.2%増を若干上回る0.3%増でした。失業率は事前予想の4.9%に対して5.0%でしたが、労働参加率の上昇(職を求める人が増えた)ことによるものであり、総じて内容は米国労働市場の堅調さを表したものでした。
堅調な雇用統計発表を受け、直後には米国株下落、ドル高という反応でしたが、すぐに米国株反発、ドル安という反応に変わりました。3月の米国自動車販売が予想より弱かったこともあり、「この程度の雇用統計では利上げはしない」という市場反応ですが、この流れが継続するかはかなり疑問です。実際に、原油は雇用統計発表を受けて、大幅下落しており、市場反応に一貫性がありません。
対円でもドル安、つまり円高ドル安進行により、日本株は大幅下落した先週金曜日に続き本日も下落しています。先週金曜日に業績悪化懸念から大幅下落したパナソニック(6752)が、市場全体の業績悪化懸念を再燃させ始めた感はありますが、少なくとも実際に業績修正や業績発表が始まる今月下旬までは、一気に15%程度下落する波動が始まる、とは想定していません。今月27日、28日には日米の金融政策決定会合も控えています。
ただ、ボックスの下方シフトは十分に考えられます。直近の16,000円台前半-17,000円台前半のボックスは、3月に入ってからボックスが上方シフトすることで生まれました。それまでの2月後半のボックスは15,000円台後半-16,000円台前半であり、先週金曜日と今日の下落で、元のボックスに下方シフトする、ということです。今のところまだ16,000円を明確に割り込んでいませんので、微妙なところではありますが、もし16,000円を明確に割り込んだらボックスの下方シフトの可能性は高まります。
16,000円を割り込まずに反発したとしても、17,000円台回復は難しくなったと思われ、戻りめどは25日移動平均線の16,800円程度でしょう。トレーディングとしては、現状水準は半身で買い、16,000円を明確に割り込んだら一旦投げて新たなボックスを確認(理想的にはドテン売りですが、なかなか出来る事ではありません)して戻りを売りから入る、16,000円を割らずに反発したら16,500円から売り上がり、という対応でしょう。「大きなトレンドは下落であり、上値は切り下がっていく。売りから入るのが基本で、買戻しは明確な反発を待ってから。戻りを取りにいく買いポジションは、欲張らずに腹六分で利食う。損切りの投げを躊躇しない。」ということを常に頭に置いておくことが重要です。