ミョウジョウ・アセット・マネジメント株式会社の運営する会員制金融情報サイトです。

2016年5月12日のマーケット・コメント

EPSとPERから見た日経平均のレンジ

 

業績発表が続いています。昨日は注目のトヨタ(7203)が業績発表し、今期見通しは40%減益とされました。為替前提を1ドル105円としたことを除いても、十数%の減益見通しであり、今期業績見通しの厳しさをあらためて確認する内容でした。そこで今回は、株価=EPS×PER、という教科書的な切り口で日経平均の目先のレンジを考えてみたいと思います。

 

まだすべての決算が出揃ってはいませんが、前期実績は好評数値と大きく異ならないことを前提とすれば、前期実績の日経平均のEPSは約1,160円です。今回の業績発表で示された今期の会社見通しを集計すると、おそらく10%程度の減益になると思われます。つまり、EPSは1,044円程度ということです。これにPER15倍を乗ずると、日経平均は15,660円となります。PER14倍-16倍のレンジで株価変動するとすれば、日経平均のレンジは14,616円-16,704円ということになります。

 

これまでの日経平均の推移を振り返ると、今年の安値は2月12日の14,866円、4月後半の日銀追加緩和に対する思惑で上げ下げした部分を除くと、上限は17,000円近辺ですので、ほぼ上記のレンジで推移してきています。現在の16,400円台はレンジの上限に近く、売り姿勢で臨むべきだということになります。

 

以上の議論は、「業績見通しが10%程度の減益」「世界的に株式市場のリスク・プレミアムが切りあがらない(=PER水準が切り下がらない)」ということを前提にしたものです。今後いずれ、これらの前提が変わる、すなわち株価水準が切り下がる、と考えています。ただ、それが起こるときは、日本株だけではなく、世界的な株価の下への水準訂正が起こります。とりあえず考えられる修正後の前提は「10%程度ではなく20%程度の減益」「株式市場のリスク・プレミアムの上昇によりPERレンジは13倍から15倍に下方シフト」です。つまり、日経平均のEPSは928円になり、PER13倍-15倍は12,064円-13,920円ということです。

 

その前提の修正が起こるときが、一波動13-17%下落の下落波動が起こるときであり、それは最も遅くとも4-6月期業績発表が行なわれる8月には起こると思います。それよりも前倒しで起こる可能性も十分ありますので、世界同時シンクロの株価下落が始まったと思われるときには、それをお伝えします。

 

今週は、先物主導での不思議な値動きになっていますが、それは明日のオプションSQまでだと思われ、業績が出揃いSQも終わる来週以降は、現物主導の動きに変わる可能性が高いと考えられます。中長期外人投資家は、まだまだ売り余力を持っています。外人投資家は2013年に約15兆円買い越し、2014年、2015年はほとんど動かず、2016年はまだ約5兆円の売りこしに過ぎないことからも、そのことをご理解いただけると思います。