2016年度会社業績予想の構図-根拠に乏しい下期回復シナリオ
先ほど野村證券からのリサーチ・レポートを見て、今期(2016年度)の会社業績予想の構図を改めて確認できました。レポートによると、時価総額上位85%をカバーする、Russel/Nomura Large Capインデックスの、除く金融ベースの今通期会社予想経常利益は2.1%の減益とのことです。また上期会社予想経常利益は18.6%の減益とのことです。つまり、会社予想は下期の大幅業績回復を予想しているということです。
前期経常利益の上期下期のバランスが正確にわからないので、単純に半々だったとします。つまり、全体を100とすれば、上期50下期50だったとします。通期で2.1%減益という事は、100が今期通期では97.9になることになります。また上期は18.6%減益という事は、上期50が40.7になることになります。97.9から40.7を差し引くことで下期を求めると57.2となります。下期は前期50が今期は57.2に、すなわち14.4%増益ということです。
過去の会社業績予想の傾向を見ると、会社が期初に発表する業績予想は、根拠のない下期回復予想をしがちです。特に足元の状況が良くないときには、その傾向が顕著です。今回もまさにその傾向に沿ったものだといえ、下期業績回復の根拠は「下期になれば情勢が落ち着くだろう」程度のものに過ぎないと考えられます。一方、上期予想は受注動向など予想の根拠が明らかで、実態をかなり正確に反映したものだと考えられます。
業績悪化の根本的問題である、中国を初めとする新興国の経済減速が下期になって改善する見込みはなく、むしろ更に悪化する可能性のほうが高いでしょう。それを考えると、実際には下期回復は実現せず、通期でも20%程度の減益という見方に向こう3-6ヶ月かけて変化していくと予想されます。業績見通しの下方修正は、当然株価の下落要因です。
日本株は相変わらず短期投資家主導の上げ下げが続いていますが、次の大きな動きは中長期投資家が再び株削減を始めることによる、下落の動きである、という見方を強調します。