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2016年6月13日のマーケット・コメント

下抜け始まりの可能性に留意

 

本日の日本株は、先週末の欧米火部下落、さらにイギリスのUE離脱国民投票(いわゆるBrexit)に関する週末の世論調査で、離脱支持が明確に離脱反対を上回ったことを受けて、大幅続落となっています。相変わらず、売買代金は盛り上がっていませんので、中長期投資家が本格的に株式削減に動き始めた、という動きではありません。しかし、下落率が大きい銘柄を見ると、先週までとはやや様相が変わってきています。

 

先週までは、もっぱら先物主導の動きで、個別銘柄間の株価変動に目に付く特徴はありませんでしたが、本日はすでに業績懸念が顕在化している銘柄の下落率が大きくなっています。東証1部の下落率上位の主な銘柄としては、SUMCO(3436)、マツダ(7261)、パイオニア(6773)、ジェイエフイー(5411)、日立製作所(6501)、三井化学(4183)などの銘柄が5%を超える下落率となっています。逆に業績好調という評価の銘柄は、小幅な下落に留まっているか上昇となっています。売買代金上位を見ると、キーエンス(6861)、花王(4452)、JR東日本(9020)、クボタ(6326)、オリエンタルランド(4661)、オムロン(6645)、明治ホールディングス(2269)などがそれに当たります。

 

単に、景気敏感売り、ディフェンシブ売り、ということではないことを踏まえると、一部の中長期資金のファンド・マネージャーが、業績動向という切り口で、市場全体の下落に備えて銘柄入れ替えを始めた可能性があります。アセット・アロケーターははっきりした事実(今回で言えばBrexit投票の結果)がないと動けませんが、ファンド・マネージャーは銘柄入れ替えという方法で事前対応を取ることはできるのです。また、説明責任のない短期投資家は、いくらでも事前に動けます。

 

ここでひとつのシナリオとして想定しておかなければならないのが、Brexit投票日である6月23日に向けた世論調査次第で、短期投資家が「離脱決定」を事前に織り込むことにより市場全体の下落基調が続き、同時にファンド・マネージャーが業績動向に沿って銘柄を入れ替える。(下落を牽引するのは業績懸念がある銘柄。)その後、実際に離脱決定と決まったら、中長期投資家のアセット・アロケーターが株式の削減に動き、さらに市場全体は下落する。(下落を牽引するのはファンド・マネージャーが保有している銘柄。すなわち、好業績銘柄が下落を牽引。)

 

まずは5月はじめの安値、日経平均16,000円割れで止まるかどうかですが、一旦止まってもBrexit投票の結果がはっきりするまでは、リバウンドを取りに行くのは控えるべきでしょう。もしこれが今年3度目となる13-17%の大きな下落波動だとすると、下落余地は大きいからです。スタートをどこに取るかですが、5月末にかけて17,000円を越えた部分は明らかに政策期待だったので無視するとすれば、スタートは6月8日高値の16,831円になります。13-17%下落は、13,970-14,643円となります。