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2016年6月14日のマーケット・コメント

Brexitをめぐる展開予想

 

イギリスがEUに残留するのか、それとも離脱するのかを問う国民投票が近づいてきました。週末のある世論調査で、残留45%、離脱55%と始めて明確に離脱支持が上回ったことで、世界的にリスクオフ機運が高まっています。本日の日本株も続落となり、今週2日間で日経平均は800円近くの下落です。今後、投票までの世界市場の展開は、イギリスでの世論調査結果に振り回されることになりました。

 

そこで今回は、私が考えるBrexit投票に向けての展開と、投票結果、そしてその後の展開予想をご説明します。そもそもなぜイギリスで「EU離脱」という動きが出てきたか、を正しく理解することが基本です。EUから離脱すれば、欧州での拠点をロンドンではなく、欧州大陸に移転する動きが広がり、その結果イギリスでの雇用が失われ、景気悪化に繋がることが予想されるなど、一見経済的には何のメリットもありません。

 

ではEU離脱支持派の真の狙いは何でしょう?あまりおおっぴらに解説されていませんが、それは「移民・難民の受け入れ拒否」です。シリア難民が欧州各国に押し寄せた映像は記憶に新しいと思いますが、あの難民の一部はイギリスにも流入しています。EUの約束のひとつとして「移民・難民の受け入れを拒絶してはいけない」ということがあるからです。すなわち、EU離脱支持派の真の獲得目標は「移民・難民受け入れの拒絶を可能にすること」なのです。

 

イギリスは島国であり、歴史も過去の栄光もある、という点で日本と似ています。例えば日本に難民が押し寄せてきて、生活保護で生活し医療費は無料で、住む家もあてがわれて、就職支援もしている、としましょう。もちろん、その財源は税金です。治安に不安も出てきます。「多少景気が悪くなってもいいから、そんなこともうやめてくれ!」というのがEU離脱支持派の本音です。

 

タイミングが悪かったのが、フロリダで起こった銃乱射事件です。ISが関与しているかどうかはわかりませんが、イギリス国民の不安を高めるには十分だったでしょう。今後、投票に向けての世論調査で、離脱支持派が徐々に増加し、投票で離脱決定、それを受けて中長期投資家が本格的なリスクオフの動きを始める、と予想します。もちろん、投票に向けての世論調査結果次第でシナリオの修正は必要ですが。